参議院選挙迫る!選挙後の日経平均は?

投資情報部 鈴木英之 植田雄也
2025/07/15
日経平均株価はもみ合い商状
7月2週(7/7~7/11)の日経平均株価は、前週末比241円20銭安(▲0.61%)と週足ベースで続落。節目の4万円を前に戻り売りが優勢となりました。一方で、鉄鋼・銀行株は出遅れ感から買いが入り、TOPIXは反発。日経平均の寄与度が大きいファーストリテイリングは決算発表が嫌気され、1銘柄で日経平均を約260円押し下げる場面(7/11)もありました。7/20(日)の参院選を控え、与党の過半数維持が焦点となり、政策の先行きに対する警戒感も広がったとみられます。
日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(7/7~7/11・図表7)の首位は、住友ファーマ(4506)です。8日、同社は英アストラゼネカの希少疾病部門であるアレクシオン・アストラゼネカ・レアディジーズと独自の遺伝子治療技術のライセンス契約を結んだと発表しました。治療技術の普及や、将来的な企業価値向上につながるとの見方から買いが集まりました。
2位はオムロン(6645)です。7日、上場する大企業に少数株主として出資し経営支援まで行う、ファンドジャパン・アクティベーション・キャピタル(JAC)がオムロンへの出資を発表しました。投資額は約300億円、保有比率は約4%に達するもようです。JACはPMI(買収後統合)に豊富な知見を持ち、オムロンの海外M&A戦略を支援する戦略的パートナーとして、企業価値向上に貢献する構えです。米関税政策や中国景気の低迷を背景に、オムロン株は年初来安値を更新していましたが、JACの参画による中長期的な成長期待が買い材料となり、短期筋の反発狙いも加わって株価は急反発しました。
日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(7/7~7/11・図表8)は、電気機器関連や機械・重工等の海外景気敏感業種が並びました。個別では、3-5月期の営業利益が予想を下回ったファーストリテイリングが大幅安となりました。
7月第3週(7/14~7/18)の日経平均株価は下落スタート。7/8(火)にトランプ大統領は上乗せ関税が発動される8/1(金)の期限は延長しないと述べました。しかし、現地時間7/14(月)トランプ米大統領が貿易交渉に対してオープンな姿勢を示しました。これを受け、8/1(金)の新関税率適用前に各国との交渉が進み税率は引き下げられるとの見方から米国主要株価3指数はいずれも上昇しました。
日米の関税交渉や今週の参議院選挙を巡る不透明感等、警戒感が漂うことが想定されます。関税材料に対しては引き続き「TACO」トレードが目立つ一方、市場は今週の米国のいくつかの重要な経済指標とこれから本格化する決算発表シーズンに注目が集まる状況となるでしょう。
図表1 日経平均株価およびNYダウの値動きとその背景

図表2 日経平均株価

図表3 NYダウ

図表4 ドル・円相場

図表5 主な予定

図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定

図表7 日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(7/4~7/11)

図表8 日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(7/4~7/11)

参議院選挙迫る!選挙後の日経平均は?
7/20(日)に第27回参議院選挙が行われます。参議院に解散はなく、常に任期(6年)満了による選挙になります。ただし、3年に1回半数を入れ替える仕組みになっており、今回は本年7/28(月)に任期満了となる124議席を改選する選挙となります。
株式市場の格言に「選挙は買い」というのがあります。選挙では、候補者が将来を期待させる公約等を多く発信するため、株式市場でも将来に対する期待が高まりやすいと考えられるためです。しかし、過去の参議院選挙後の日経平均株価の動きを見る限り「微妙」と考えざるをえません。
2016年の第24回参議院選挙では確かに、与党が勝利して選挙翌日の株価は大幅高し、月末まで上昇基調を維持しました。しかしこのケースでは、前週末7/8(金)発表の米雇用統計が強く、同日のNYダウが大幅に上昇した影響という面もあります。政権与党が勝利したため、選挙翌日の株価が上昇するとは限りません。
逆に1998年の選挙では、自民党が大敗し、当時の橋本首相が辞任する事態に追い込まれましたが、選挙翌日の株価は上昇していますし、7月中は値を保っています。
また、図表9に示した過去10回の参議院選挙のうち、7月末(一部は8月末)まで株価が、選挙直前比で上昇した回数は5回で「勝率」は5割にとどまっています。「選挙は買い」というのは、参議院選挙に関する限りは、それほど当てはまっていないように見受けられます。
ちなみに今回の参議院選挙では、与党である自民・公明党には計75の非改選議席があります。選挙後の参議院で過半数を占める125議席を確保するには今回50議席の当選が必要になります。石破首相は50議席を勝敗ラインにしているようで、選挙直後は、「自民・公明両党で50議席確保」となれば、株価が上昇する可能性が大きくなりそうです。
逆に50議席を大きく割り込むようであれば波乱の可能性もあります。ただその場合は、野党の多くが主張する消費税引き下げを含む「減税」が論議されるようになり、それが株価を押し上げるケースも出てくるかもしれません。
今週(7月第3週)は米国の物価指標や米主要企業の決算発表等重要日程は目白押しで、トランプ関税やパウエルFRB議長への解任圧力等、株価に影響を与える材料は多数あります。選挙までに株価が大きく動いている可能性もあります。
図表9 参議院選挙と日経平均株価(過去10回)

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