レポート・コラム

SBIラップ 匠の運用コース  半期運用レポート(2024年度上期)

SBIラップ 匠の運用コース 半期運用レポート(2024年度上期)

「SBIラップ 匠の運用コース(愛称:匠ラップ)」(以下、「匠ラップ」といいます)は、野村アセットマネジメント独自の投資戦略を活用し、同社の厳選したアクティブファンドへの投資を通じて、投資環境に左右されにくい安定した高いパフォーマンスの獲得を目指します。2024年度上期の金融市場は、米国ハイテク株の上昇と米国の金利動向見通しの変化が主な関心事となりました。欧米諸国の金利が低下する中で一般的に金利低下が恩恵となる金や不動産を中心に上昇した一方で、7-8月をはじめとして変動が大きい局面が多く、株式等は僅かな上昇にとどまりました。ドル/円為替は、高止まりする米金利と日銀の利上げに消極的な姿勢等から、7月に一時161円後半とおよそ37年半ぶりの円安水準となる場面がありました。一方で、後半には日銀の利上げと米国の利下げ決定により日米金利差が縮小し、一転して急激な円高・ドル安が進行したことで、最終的に3月末比では、5.73%程度の円高・ドル安となりました。そのような市場環境の中で、「匠ラップ」がどのようなパフォーマンスだったのか、約半年間を振り返ります。

2024年度上期のパフォーマンス

2024年3月末から2024年9月末の期間における「匠ラップ」のパフォーマンスは+0.59%(※1,3)となりました。「匠ラップ」 は同期間において、やや低めのリスク水準から徐々にリスクを高めた運用にシフトしていく中でプラスリターンを確保することができましたが、参考とする合成指数(※2)との比較では-1.86%(※3)となりました。以下の折れ線グラフは「匠ラップ(※1)(赤色線)」「合成指数(※2)(青色線)」の比較グラフで、開始点は2024年3月29日です。
2024_1st_half_Takumi_graph01

*合成指数の値は運用にかかる費用等を考慮していません。

・運用実績は過去のものであり、将来の運用成果等を示唆または保証するものではありません。

・「匠ラップ」は、オールウェザー戦略の考えを取り入れ、株式60%、債券40%の資産配分を参考としながら、事前想定リスク年率10%程度でリターンの最大化を目指し、資産配分を決定します。本グラフでは、「匠ラップ」の運用戦略に基づく資産配分の決定がどれだけパフォーマンスに寄与しているかを示すために、前述の資産配分の参考値に基づきFOLIOが作成した合成指数(※2)を用いて、パフォーマンスの比較を行っています。

リバランスと「匠の判断」を振り返る

「匠ラップ」は、2024年3月末から2024年9月末までの期間において、計6回のリバランスを行いましたが、概ねリスク資産の比率を若干増加させた一方で、各回とも投資配分を大きくは変更しませんでした。
2024_1st_half_Takumi_graph02
同期間においては、以下のような「匠の判断」を統合した結果、「匠ラップ」の運用戦略において参考とする株式60%、債券40%をやや下回るリスク水準から、やや上回る水準に変化させていきました。
  • 定量的な分析による長期目線での戦略
    • 金融市場の景気期待について、4月以降一貫して中立的な局面を示唆していました。
    • 市場のインフレ期待について、4月以降一貫して軽微ながらもその剥落に備えるべき局面を示唆していました。
  • 定性的な分析による短中期目線での戦略
    • 実体経済の動向について、4月以降、金利上昇の悪影響が突発的に顕在化することによるリスク性資産の急落を警戒し、大局としては景気減速を見込みつつも、米国の利下げが景気減速への警戒姿勢を解くきっかけとなると想定していました。実際に、8月には米国で雇用をはじめとする低調な経済指標の発表等により株式を中心に多くの資産が急落しましたが、主要国の利下げ実施や米国の利下げ期待の高まりを受けて、9月初には景気見通しを中立に変化させました。
    • 金融環境の動向について、新興国のみならず先進国でも、各国が次々と利下げを実施する中で、世界経済に大きな影響を及ぼす米国もインフレ率の鈍化や軟調な労働市場の影響から、2024年度の上半期を通じて予防的な利下げを実施する可能性が高まりました。その結果、8月以降の判断では、株価や債券価格が上昇しやすい環境になると想定していました。一方で日本については欧米の金融政策循環に遅れて、これから引き締め局面が始まるとみられることから、国内債券に対しては慎重な投資姿勢で臨むべきと評価していました。
 
Takumi_asset_management_process
続いてリバランスがパフォーマンスに与えた影響を振り返ります。まずは、リバランスの内容が特にマイナスに影響した2024年4月から5月です。2024年4月から5月は、米国ハイテク株を中心に株式資産が上昇したことから、「世界株(グロース)」を比較的多く保有していたことがプラスに寄与しましたが、同時に比較的多く保有していた「外国債券(国債型)」が円安・ドル高が進むなか為替ヘッジを行っていたことも逆風となり下落したこと等が影響し、合成指数との比較では4月は-0.43%、5月は-0.98%(※3)となりました。(前述のパフォーマンス推移、または月次レポート 2024年4月2024年5月をご確認ください) 一方で、2024年8月においては、合成指数と比べて良いパフォーマンスを発揮することができました。(※4)

2024年8月の投資配分と月間パフォーマンス

2024年8月は相場が急変し急激な円高・ドル安が進んだことから、「匠ラップ」の投資対象ファンドはドル/円為替の影響を受けない「J-REIT」や「国内債券」、為替ヘッジをかけている「外国債券(国債型)」を除き下落しました。そのような環境下で、「匠ラップ」では「外国債券(国債型)」を比較的多く保有していたことが奏功し下落幅を抑制できました。また、月間の騰落率はマイナスであったものの、参考指数と比較して相対的に下落を抑えられた「世界株(グロース)」を最も多く保有していたことからも、「匠ラップ」の月間パフォーマンスは-0.38%となり、合成指数と比較して+0.23%となりました。(※3,4,5)「匠」の戦略が詰まったアクティブファンドである「世界株(グロース)」とその参考指数である「MSCIワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)」を比較してみると、「世界株(グロース)」は8月月間で-0.48%と参考指数を1.19%上回りました。(※6)
2024_1st_half_Takumi_graph03
なお、以下のコラムでは、「匠ラップ」が投資対象とする9つのアクティブファンドの匠ラップリリースからの1年間の運用について、各ファンドの運用担当者による振り返りをご紹介しています。

※1 「匠ラップ」の運用実績について

2024年3月末から2024年9月末まで、または表示している期間において、「匠ラップ」に投資していた場合の運用実績です。 投資対象ファンドの基準価額(信託報酬やその他の費用が考慮されており、分配金は当該ファンドに再投資したものと仮定しています。)をもとに、「(計算期間終了日基準価額/計算期間開始日基準価額)-1」で計算したものを%表示しています。リバランスは最適ポートフォリオとの乖離がないように実施したと仮定し、運用手数料を年率0.77%(税込)徴収したと仮定して計算を行っています。(※3)

※2 合成指数の推移について

「合成指数」のシミュレーションにあたっては、「匠ラップ」が参考とする資産配分である株式60%、債券40%の割合でMSCIワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)とFTSE世界国債インデックス(除く日本、ヘッジあり・円換算ベース)を合成して計算しています。投資対象ファンドの基準価額に市場価格が反映されるタイミングを考慮し、合成指数の計算期間開始日および終了日を前倒して表示しています。(※3)

※3 運用実績又は運用シミュレーションの計算方法について

本文およびグラフ上で表示している割合は年率ではありません。計算後の数値の小数第3位以下を切り捨てて表示しています。将来の運用成果等を示唆または保証するものではありません。分配金やリバランス時の譲渡益にかかる税金は考慮していません。表示期間における、匠ラップの運用実績と合成指数のシミュレーションの比較においては、小数第3位以下を切り捨てて表示しているため、表示上の数値を用いて計算すると数値が一致せず誤差が生じる場合があります。

※4 匠の運用の好事例のみを示しており、市場動向等によっては上記のような運用ができない場合があります。毎月の運用実績は、匠ラップウェブサイトにてマンスリーレポートをご確認ください。

※5 2024年8月の運用実績等および投資対象ファンドの騰落率については、それぞれ前月末の値を基準として当月末までを対象期間として計算しています。「(当月末の評価額(基準価額)/前月末の評価額(基準価額)-1」で計算を行い%表示をしています。計算根拠については、※1,2,3をご参照ください。

※6 「世界株(グロース)」と「MSCIワールド・インデックス」の推移比較について

・将来の傾向や投資収益等を示唆又は保証するものではありません。

・「世界株(グロース)」は野村アセットマネジメント社から提供された「ラップ専用・世界株式アクティブ(グローバル・マルチテーマ)」の分配金再投資基準価額データ(信託報酬等の費用考慮後)を用い、またBloombergが提供する「MSCIワールド・インデックス(配当込み)」をFOLIOにて円換算したデータを参考指数として用いて、2024年7月31日を基準として8月末までの推移をFOLIOにて計算し作成したものです。小数第3位以下を切り捨てて表示しています。

・「ラップ専用・世界株式アクティブ(グローバル・マルチテーマ)」の基準価額に市場価格が反映されるタイミングを考慮し、「MSCIワールド・インデックス(配当込み)」の計算期間開始日および終了日を前倒して表示しています。

・本文中の比較は、「ラップ専用・世界株式アクティブ(グローバル・マルチテーマ)」と「MSCIワールド・インデックス(配当込み)」の2024年8月の月間騰落率を比較したものです。小数点以下第3位を切り捨てて計算している箇所があるため、小数点以下第2位の数値が必ずしも一致しない場合があります。

・信頼できると考えられる情報を用いて算出しておりますが、情報の正確性、完全性等について保証するものではありません。

市場動向を振り返る

<4月>下旬には米国のハイテク企業の好業績が好感されたことや長期金利の上昇が一服したこと等から反発する場面もありましたが、月間を通じてみると、インフレ持続懸念等による米国の利下げ観測の後退に加えて、中東情勢の悪化懸念等が重なり株式市場は軟調に推移しました。<5月>米国でFRBによる利下げ開始の先送り懸念が後退したことや、米ハイテク企業の市場予想を上回る決算が好感されて、株式市場は欧米を中心に堅調な推移となりました。為替は、上旬に日本の通貨当局が為替介入(外国為替平衡操作)を行ったことなどから大幅に円高・ドル安基調になる場面がありましたが、後半にかけて日米金利差の拡大が改めて意識されて再び円安・ドル高が進む展開となりました。<6月>株式市場は、米国でハイテク株等が上昇を牽引して堅調に推移した一方で、欧州では政情不安が嫌気される等で、また中国では欧米との関係悪化懸念や国内景気の不透明感等で軟調な推移となりました。為替は、米国金利の低下期待が後退したことで、一時1ドル=161円台まで円安が進み、1986年12月以来の歴史的水準を更新する場面もありました。<7月>株式市場は、半導体を巡る米中貿易摩擦や米大手IT企業の低調な決算等から、日米欧の株式市場が軟調に推移しました。為替は、日米金利差の縮小を想像させる経済指標の発表や、日本の通貨当局によるドル売り・円買い介入とみられる動きも相まって、円高が急速に進みました。<8月>株式市場は、ドル/円為替の急変動や米国景気後退懸念等で主要国の株価が急落しました。中旬からは、米国景気後退懸念の緩和を受け多くの国で急落前の水準程度まで回復しました。為替は、日銀のサプライズ利上げや米国景気後退懸念で急激な円高・ドル安となりました。<9月>株式市場は、中旬に景気後退に先手を打つ形で米国が大幅な利下げを決定し、米国を中心に上昇しました。中国では当局の大規模な景気刺激策が好感され、下旬にかけ株式市場は急激に上昇しました。為替は、米国の利下げの織り込みと実際の決定を受けて大きく変動し、月間を通しては円高・ドル安が進みました。

「SBIラップ」併せ持ちの効果

「SBIラップ」では匠の運用コース、AI投資コースを併せ持つことが可能です。各コースのバックテストおよびサービス開始後の実績を用いて試算したところ、両コースを5:5で併せ持っていただくと運用効率が改善する結果となりました。以下コラムでは、併せ持ちの効果について詳細に説明しておりますので、是非ご一読いただければ幸いです。

最新の投資配分の確認方法

「匠ラップ」では野村アセットマネジメント独自の投資戦略を活用して、同社の厳選したアクティブファンドへの投資配分を決定しています。最新の投資配分が気になる方は、「匠ラップ」契約後のサマリー画面にてご確認いただくことができます。口座開設・ログインはこちら

スマートフォンでの利用方法

SBI証券スマートフォン専用サイトや各種アプリを経由して、スマートフォンでも「匠ラップ」を便利にご利用いただけます。詳しくはコラムでご紹介しています。

■本資料について

・投資環境に関する過去の事実等の情報提供や作成時点での見解をご紹介するために、「匠ラップ」の投資運用業務を行う株式会社FOLIOが作成した資料です。

・記載内容は作成時点のものであり、将来の市場環境の変動や運用成果等を示唆又は保証するものではありません。

・信頼できると考えられる情報を用いて作成しておりますが、その正確性、完全性等について保証するものではありません。

■株式会社SBI証券

金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第44号、商品先物取引業者  加入協会:日本証券業協会、一般社団法人 金融先物取引業協会、一般社団法人 第二種金融商品取引業協会、一般社団法人日本STO協会、日本商品先物取引協会

■株式会社FOLIO

金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第2983号 加入協会:日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会