【アメリカNOW!】先週決算発表のASML、台湾セミコン、ネットフリックスと来週発表のシーゲイト、アンフェノール

投資情報部 榮 聡
2026/04/20
先週の米国株式市場は、米国とイランの停戦協議再開、停戦期間の延長に対する期待が強まり、主要3指数とも大幅な上昇となりました。今週の株価材料として、米国とイランの停戦交渉、3月小売売上高、グーグルの新技術に関する詳細説明が注目されます。
今回は先週の決算発表銘柄および来週の決算発表予定銘柄から、ASML ホールディングス NYRS(ASML)、台湾セミコンダクター ADR(TSM)、ネットフリックス(NFLX)、シーゲイト テクノロジー(STX)、アンフェノール A(APH)を選んでご紹介いたします。
図表1 S&P500指数のローソク足(週足、2年)
1/28(水)に付けた最高値7,002.28ポイントを2ヵ月半ぶりに更新しました。イラン戦争によって年初のもみ合い局面で高値を警戒していた向きの売却が進んで需給が整理され、相場が上昇しやすくなっていると解釈できます。
※当社WEBサイトを通じてSBI証券が作成
図表2 業種別指数騰落率・個別銘柄騰落率
| S&P500業種指数騰落 | 5日 | 1ヵ月 | 3ヵ月 |
| 情報技術 | 8.1% | 14.4% | 8.5% |
| 一般消費財・サービス | 6.6% | 13.7% | 2.1% |
| コミュニケーションサービス | 6.3% | 11.1% | 7.8% |
| S&P500 | 4.5% | 9.5% | 4.8% |
| 不動産 | 3.8% | 10.1% | 8.3% |
| 金融 | 3.3% | 7.3% | -1.4% |
| 資本財・サービス | 1.2% | 7.6% | 6.1% |
| ヘルスケア | 0.9% | 2.7% | -4.3% |
| 生活必需品 | 0.0% | 2.4% | 1.6% |
| 素材 | -0.4% | 11.1% | 7.2% |
| 公益事業 | -1.7% | 4.1% | 7.5% |
| エネルギー | -3.5% | -6.9% | 15.1% |
| 騰落率上位(5日) | 騰落率 |
| オラクル | 26.8% |
| サービスナウ | 16.5% |
| テスラ | 14.8% |
| パランティア・テクノロジーズ | 14.3% |
| マイクロソフト | 14.0% |
| 騰落率下位(5日) | 騰落率 |
| ネットフリックス | -5.5% |
| コノコフィリップス | -5.3% |
| アルトリア・グループ | -4.8% |
| ウェルズ・ファーゴ | -4.7% |
| エクソンモービル | -4.0% |
注:個別銘柄の騰落率上位、下位はS&P100指数が母集団です。銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
先週の米国株式市場
S&P500指数は週間で4.5%、ダウ平均は3.2%、ナスダック指数は6.8%の上昇。3週連続の大幅上昇で、S&P500指数とナスダック指数は最高値を更新しています。
4/11(土)に行われた米国・イランの停戦協議は決裂に終わりましたが、トランプ大統領のSNSでの投稿によって協議再開、停戦期間延長の期待が相場を押し上げました。4/17(金)には、イスラエルとレバノンの停戦合意を受けてイランがホルムズ海峡の解放を宣言したことから原油価格が急落して一段高となりました。
企業決算では、半導体市場全体を見渡す立場にある半導体製造投資のASML、台湾セミコンダクターとも、「AI需要が極めて強い」とコメントしたことから、テクノロジー株への買いが強まりました。
また、3月生産者物価指数が予想を下回って、原油価格上昇の影響が予想されたほど出ていなかったことも相場の押し上げ要因になったとみられます。
業種指数では、大手テクノロジー株が買い戻されて、これら銘柄の寄与が大きい情報技術、一般消費財・サービス、コミュニケーションサービスなどが大きく上昇しました。原油価格の下落を受けてエネルギーは3%以上の下落となりました。個別銘柄で上昇トップのオラクル(ORCL)は、AI投資が実力に対して過剰だとして昨年から大幅に売り込まれていたことから、ソフトウェア株の買い戻しの流れの中で上昇が大きくなっているとみられます。
今週の米国株式市場
4/17(金)にはイランがホルムズ海峡の封鎖解除を宣言して株式市場に好感されましたが、4/18(土)にはイラン海軍が再び封鎖したと無線で通知したとされ、ホルムズ海峡を巡る動向は引き続き不透明です。
また、停戦協議についても、米国の代表団がパキスタンのイスラマバードに向かっている一方、イランは再協議を拒否しているとの報道があり、こちらも不透明感が漂っています。このため、停戦期待で上昇してきた相場には一旦揺り戻しがある可能性があるでしょう。
ただ、イランが湾岸諸国の石油施設を攻撃して、原油高と石油製品の供給途絶が長期化するという最悪のシナリオは避けられるとの見方は維持され、相場の上昇基調も維持されるのではないでしょうか。
今週の株価材料として、米国とイランの停戦交渉、3月小売売上高、グーグルの新技術に関する詳細説明が注目されます。
米国、イランの停戦期限は来週4/22(水)に到来します。週末に行われた交渉について、イラン側は依然として隔たりが大きいとコメント、トランプ大統領は「非常に良い対話」が行われたとして、捉え方に違いが見られます。まだ、停戦の行方に不透明感が残っています。
米国の3月小売売上高はガソリン価格上昇の影響を含む全体の数字は前月比+1.4%の予想、ガソリン価格上昇の影響を除くコントロールグループでは同+0.2%の予想です。2月の同+0.6%に続いて堅調となる見通しです。
グーグルは3/24(火)に発表した、AI計算における必要メモリー量の圧縮技術「TurboQuant(ターボクアント)」に関して、リオデジャネイロで4/23(木)から開催の国際会議「ICLR 2026」で発表する予定です。
リリースによると、メモリー量を6分の1にできるとして、発表直後に半導体メモリー、光通信株が下落する場面がありました。実際にどれくらいのインパクトがある技術なのか今回のプレゼンテーションで見えてくる可能性があるため注目されます。
企業決算は、テスラ、AT&T、IBM、スリーエム、インテル、アメリカンエキスプレスなどが予定されています。
米国市場が高値更新したことについての解釈
米国市場は、イラン戦争停戦への期待が生じた3/31(火)から反発、3週連続で上昇して恒久的な停戦の保証がないにもかかわらず、S&P500指数は最高値を更新しました。この急速な上昇には違和感をもつ向きも多いようですが、テクニカルな要因が絡んでいると解釈されます。
年初に株価が高値で持ち合っていたときには、S&P500指数の予想PERが21倍後半に達して、バリュエーションが高過ぎると見る向きと、高成長のAI企業が押し上げているので21倍は許容範囲と見る向きに分かれて均衡していたと見られます。
しかし、その後のイラン戦争による株価調整によって高過ぎると見る向きは、かなりポジションを落としたと見られます。これによって市場参加者の中でバリュエーションを許容する向きの比率が高まり、株価が上昇しやすくなったと考えられます。
一時的と考えられる悪材料で相場が調整して、中長期のファンダメンタルズが変わらない場合には、調整局面の前よりも相場が上昇しやすくなるというのはよくあることで、今回のケースはその典型例だと考えられます。
高値を更新して上昇が続くと、割高と考えて売却した向きも考えを変えて改めて買いを入れる可能性があり、意外高になることも考えられます。イラン戦争による押し幅の倍返しなら米大手証券の年末目標平均値である7,500ポイント以上となる可能性もあるでしょう。
今週の5銘柄
今回は先週の決算発表銘柄から、ASML ホールディングス NYRS(ASML)、台湾セミコンダクター ADR(TSM)、ネットフリックス(NFLX)の3銘柄、来週の決算発表銘柄で筆者が注目しているシーゲイト テクノロジー(STX)、アンフェノール A(APH)を選んでご紹介いたします。
シーゲイトテクノロジーとアンフェノールは、以下のレポートで取り上げています。
シーゲイト テクノロジー(STX)・・・AIデータセンター拡大はストレージにも波及、枯れた技術で恩恵は大きく長く!?(外国株投資戦略、2025年11月26日)
アンフェノール A(APH)・・・AI投資の恩恵を受けるコネクタのアンフェノールとTEコネクティビティ(外国株投資戦略、2025年8月5日)
図表3 今週の5銘柄の投資指標
注:予想PERは今期予想EPSに基づいて計算しています。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
今週の注目銘柄
| 取引 | チャート | 銘柄 | 株価 (4/17) |
予想PER (倍) |
ポイント |
| 買付 | ASML ホールディングス NYRS(ASML) | 1,459.80ドル | 39.9 | 【通期売上見通しを引き上げ】 ・最先端の半導体製造に欠かせないEUV露光装置で、ほぼ100%のシェアをもつことが注目されています。1-3月期決算は、市場予想を上回りました。4-6月期売上ガイダンスは市場予想を下回りましたが、2026年12月期売上見通しは340~390億ユーロから360~400億ユーロに引き上げられました。 ・CEOは決算リリースで「AIインフラ投資によって、半導体業界の成長見通しは引き続き確固たるものとなっている。」「半導体の需要は供給を上回っている。これを受けて、我々の顧客(半導体製造企業)は2026年以降の設備計画を引き上げつつある。」と製品需要に自信を示しました。 | |
| 買付 | 台湾セミコンダクター ADR(TSM) | 370.50ドル | 24.5 | 【AI需要は極めて強いとコメント】 ・半導体受託製造の世界最大手です。AI半導体を販売する各社が同社に製造を委託していることから、どの会社が競争に勝とうとも同社は恩恵を受ける立場にあることが注目されます。 ・1-3月期決算は、売上が前年同期比35%増、EPSが同58%増で、市場予想に対してそれぞれ1%、5%上回って好調でした。通期の売上は前年比30%超増加すると見込み、従来の伸び率予想である30%近くから上方修正しました。設備投資額は520~560億ドルの従来見通しの上限付近になるとしました。 | |
| 買付 | ネットフリックス(NFLX) | 97.31ドル | 27.5 | 【加入者純増のピークアウトは織り込んだのではないか】 ・共有アカウント対策と広告プランの導入による加入者純増がピークアウトしつつあることが株価の重石になってきたと見られますが、織り込みが進んだと考えられ、反転底入れのトレンドが期待されます。 ・4-6月期のガイダンス売上が前年同期比13.5%増にとどまり、市場予想の同14.1%増を下回ったことが嫌気されました。ただ、前年同期に値上げを行っているために比較がタフで、保守的な見通しを出した可能性が高いと見られます。 | |
| 買付 | シーゲイト テクノロジー(STX) | 547.75ドル | 27.5 | 【HDDの需給が逼迫】 ・ウエスタンデジタルと並ぶHDDの大手です。AIデータセンターの投資拡大を受けて、「確定受注生産」の取引条件が受け入れられるほど需給がタイトになっています。HDDメーカーは世界的にも限られているため、大手への恩恵は大きく、かつ、長期化することが期待されます。 ・10-12月期決算は、売上が前年同期比22%増、調整後EPSが同53%増で、それぞれ市場予想を3%、10%上回って好調でした。1-3月期売上は28~30億ドルのガイダンスで10-12月期の28.3億ドルから増加見通しです。4/29(水)引け後に1-3月期の決算発表が予定されています。 | |
| 買付 | アンフェノール A(APH) | 151.06ドル | 34.2 | 【データセンター向けに高成長続く】 ・情報通信機器に強いコネクター大手です。2025年12月期のコミュニケーションソリューション部門の売上構成比が53%と高く、データセンターでのコネクター需要拡大の恩恵を受けています。企業買収に積極的で2025年には5つの買収を実行しています。 ・10-12月期決算では、オーガニック売上成長率が7-9月期の前年同期比41%増から10-12月期に同37%増に低下したことが嫌気されて決算発表を受けて株価は下落しました。しかし、受注は前年同期比68%増の84億ドルで、再び売上成長が高まる可能性が高いと考えられます。4/29(水)引け後に1-3月期の決算発表が予定されています。 |
注:予想PERはBloomberg集計のコンセンサス予想EPSによります。使用した予想EPSの決算期は、シーゲイトテクノロジーは2027年6月期、その他は2026年12月期です。
※会社資料、BloombergデータをもとにSBI証券が作成
主要イベントの予定
| 経済指標・イベント | 企業決算・イベント | |
| 20(月) | ・トランプ関税(IEEPA関税)の返金手続き受付開始 | |
| 21(火) | ・米小売売上高(3月) ・米中古住宅販売成約(3月) ・ウォーシュ次期FRB議長候補の公聴会(上院銀行委員会) |
スリーエム、ユナイテッドヘルス、GEエアロスペース RTX、ノースロップグラマン |
| 22(水) | ・米国とイランの停戦期限 ・S&Pグローバル日本製造業PMI(4月) ・米20年債入札 |
テスラ、AT&T、IBM ボーイング、GEベルノバ、ラムリサーチ フィリップモリスインターナショナル テキサスインスツルメンツ |
| 23(木) | ・シカゴ連銀全米活動指数(3月) ・米新規失業保険申請件数(4月18日に終わる週) ・S&Pグローバルユーロ圏製造業PMI(4月) ・S&Pグローバル米国製造業PMI(4月) |
・グーグルが新技術に関して発表する技術カンファレンス「ICLR 2026」(リオデジャネイロ、25日まで) |
| 24(金) | ・米ミシガン大学消費者信頼感(4月、確報値) | P&G |
| 27(月) | ・米2年国債、5年国債入札 | ベライゾンコミュニケーションズ |
| 28(火) | ・S&PコタリティCS住宅価格(2月) ・米コンファレンスボード消費者信頼感(4月) ・米7年国債入札 |
コカコーラ、ビザ、コーニング、ゼネラルモーターズ シーゲイトテクノロジーズ、TモバイルUS |
| 29(水) | ・中国製造業・非製造業PMI(4月) ・米耐久財受注(3月) ・米住宅着工・建設許可件数(3月) ・FOMC政策金利 |
アルファベット、メタプラットフォームズ、マイクロソフト アッヴィ、ソーファイテクノロジーズ、クアルコム アンフェノール |
| 30(木) | ・米個人所得・個人支出(3月) ・米個人消費支出物価指数(3月) ・米新規失業保険申請件数(4月25日に終わる週) |
アップル、アルトリアグループ、イーライリリィ サンディスク、メルク、マスターカード |
| 5月 1(金) |
・米実質GDP(1-3月期) ・米ISM製造業景気指数(4月) |
エクソンモービル、シェブロン、リンデ |
注:日付は現地時間によります。(E)はBloombergによる予想を示します。企業決算の赤字でのハイライトは、当社顧客保有人数の1~30位、青字のハイライトは31~50位を示します。
※Bloombergデータ、各種報道をもとにSBI証券が作成
※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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