SBI証券

会ってみた!
10社ファンドマネージャーに
独占インタビュー!INTERVIEW

大人気ファンド「ひふみプラス」の
原点と想い描く“これから”

藤野 英人氏
運用ファンド「ひふみプラス」
レオス・キャピタルワークス株式会社 代表取締役社長・最高投資責任者(CIO)

Q. ご出身は?

生まれ育った土地に対して貢献したい

生まれた土地という意味では富山県です。父の転勤が多かったのですが、愛知県(名古屋)には比較的長く住んでいました。

この2県には思い入れがあって、心の故郷のように思っています。それが運用に関わってくるということはありませんが、生まれ育った土地に対して貢献したいという想いがあります。実は少し前、富山の朝日町というところに古民家を購入していまして、これをリノベーションして地域の交流の場とする予定です。

Q. 好きな食べ物はなんでしょうか?

実はバカ舌なんです(笑)

以前、舌の敏感さは「鈍感」「普通」「敏感」と大きく3つに分けられるという話を聞きました。私はそのなかでもいわゆる「鈍感」な方だと思っていて、幸せなことにたいてい何を食べてもご馳走に感じるんです。そのなかでも、強いてあげるならお寿司は大好物ですね。といっても、特別高級なものではなく、100円の回転寿司でも十分満足してしまいます。苦手なものはほとんどありませんが、すっぽんの血は苦手でしたね。

Q. こどもの頃の夢はなんでしたか?

五歳ではじめての企業調査?!

ちょうど先日、実家にあった昔の卒業文集を読み返していたのですが、「将来の夢」の欄を見て、つい笑ってしまいました。幼稚園から中学生までは、ずっと「金持ち」って書いてあったんです。そして、高校生になったらそれが「資本家」になっていました。高校で「資本」という概念を覚えたんでしょう。いずれもまったく記憶になかったので驚きました(笑)

ただ学生時代から運用の道を志していたというわけではなく、当時は検事を目指していて、大学でも法学を勉強していました。しかし、少し自分の興味と異なるような気はしていて、大学の授業でも経済や商学の授業のほうが面白く感じていました。

最初に就職したのは運用会社でしたが、実はそのときも検事への道は諦めておらず、働きながら2年後の司法試験をめざしていましたし、運用会社を選んだのも金融の知識は法律の世界でも強みになるからと、教授に勧められたからでした。でも、働くうちに仕事が面白くて仕方がなくなり、以来、運用の世界に身を置いています。

30歳のときには母校の大学院で商学を教えていましたし、仕事をするうえで大学時代の専門がどうだったかというのはあまり関係がないと思います。2、3年も本気で取り組めば、大学で勉強するくらいの知識はつきますから。

それから、子どものころの自分と今の仕事という意味では、母から聞いたエピソードも面白かったですね。私が5歳のころ、自宅の前にたこ焼き屋があったのですが、その客数を「今日は30人か。繁盛しているなぁ」「今日は3人か、少ないなぁ」という風に毎日数えていたそうです。そして、ある日意を決して、たこ焼き屋の親父に「生活するためにたこ焼き焼いてるんかい?」「儲かるかい?」って(笑)

それを考えると、企業を外から見て、調査して、経営者にインタビューして、と今も全く同じことをしているなと思います。

Q. 座右の銘を教えてください

「全力を尽くす」

いつも色々なところで言葉にしていますが、「全力を尽くす」です。

これは寝ずに頑張るとかそういうことではなく、自分の持っている“全ての力”、5感や色々な感性を含めて、自分が持っているものを全て使う、出し切るという意味で使っています。

Q.1週間休みがあったら何をしますか?

いつもやりたいことをやっています。

考えてみたのですが思いつきませんでした。何せ、今すでにやりたいことをやっているんです。

実は、この質問は良い質問だと思ったのですが、私も「10億円あったら何をするか?」と似たような質問をすることがよくあります。皆さん、「世界一周する」「転職する」「ボランティアをする」など、色々な答えを返してくれるのだけど、それに対して思うのは「実はそれって今できるんじゃない?」ということ。時間やお金をできない理由にするのではなく、今やりたいことを意識して、できることからやってみるのが重要なんじゃないかなと思います。

Q. 運用しているファンドやその運用方針の紹介をお願いします。

志のあるお金を、志のある企業に

主に日本、一部海外の成長する会社へ投資をするファンドです。北海道から沖縄まで幅広い投資家に持っていただけることを目指しています。志のあるお金を、志のある企業へ投資するというのが私たちの想いのひとつ。銘柄の規模や業種、テーマにはこだわらず、3年、5年、10年と長期で成長していく企業を選んで投資しています。

Q. ファンドに対する想いを一言で表すなら?

ポッキーのようなファンドを作りたい

「ポッキーのようなファンドを作りたい」と思っています。

“ポッキー”と言えば、誰もが「細長い、チョコレートのかかったクッキー」だと分かる。そんな誰でもわかるブランドを作りたいと思っています。ひふみを作った当初は、そういった“ポッキー”のような(名前を聞いただけでどんなものか分かる)ファンドはなくて、“細長い、チョコレートのかかったクッキー”という名前で、ほとんどのファンドが売られていました。「○○アセット日本成長株ファンド(毎月分配型)」のような感じです。ファンドにはブランド品がありませんでした。

そこで、幅広い人に持ってもらえて、名前を聞けばそれがどんなファンドかすぐに分かる、心を寄せることができるようなファンドを作りたいと思いました。だから、「ひふみ」というブランドをつくりました。

その目標には近づいてきているけど、まだまだこれからです。街中で「ひふみ」を知っているか聞いても、まだ1%くらいの人しか知らないと思います。投資するかどうかは別にしても、もっと多くの人が“知っている”ファンドを目指しています。

それから、実は「ひふみ」という名前にも色々な意味が込められています。

まず、漢字にすると“一二三”ですが、これは少しずつ増えていくイメージです。「日を踏む」という意味もあります。積立投資というのは最初から意識していました。

また、当社の入り口に「火風水土心」と書いた書が飾ってあります。実はこれは「ひふみとーしん」と読みます。「火風水土」という日本人の昔からの世界観があって、そこに「心」が合わさって「ひふみ投信」。要は言葉遊びなのですが、火が攻め、風が変化、水が守り、土が安定というように、わたしたちの柔軟な運用に通ずる部分はあると思っています。

他にも色々とあるのですが、長くなってしまうのでこのあたりで。(笑)

Q. 他のファンドマネージャー(または運用会社)に「ここは負けない!」というアピールポイントを教えてください。

謙虚に学んだり感謝したりできる人こそ強敵

(インタビュー談)藤野さんの強みをお伺いしようと思ったら、「この人はすごいよ」と次のようにご紹介をいただきました。他の人と比べ争うのではなく、認め、共に投資を広げていこうとする藤野さんの思い、考え方がこのお答えに表れたように思います。

カリスマ投資家とも言われていて、一時期レオスで一緒に仕事をしていた片山晃さんはすごいですね。日本一の投資家になっていくかもしれません。投資家の見本になる人物だと思います。

以前、対談させていただいたことのある「厳選投資」の武田さん、「自由演技」の酒井さん、それから以前レオスにいた「げんせん投信」の伊藤さんにも注目しています。

あとは「椿」の椎名さんですね。以前、彼が受賞したとある賞の授賞式で「藤野さんの本を読んだおかげで、こんな賞を取れた、ありがとうございます。」と言われたことがあります。そういう風に、頭を下げることができる、謙虚に学んだり感謝したりできる人こそ、強敵だと思います。

Q. 一目置いている経営者の方はいらっしゃいますか?

経営者はみなさん尊敬の対象です

日本電産会長の永守さんです。経営者として圧倒的な存在だと思っていて、私たちの間では、“御大”と言ったら、永守さんその人です。(笑)

ソフトバンクの孫さんや、ユニクロ(ファーストリテイリング)の柳井さんもすごい経営者ですが、その中でも図抜けています。仕事に対する姿勢や、投資家に対するコミュニケーションなど、素晴らしいと思います。

ただ、私の場合はほぼ全ての経営者、特に自分で会社を立ち上げたオーナー経営者は尊敬の対象になっています。会社を立ち上げて存続させるというのはそれだけ大変なこと、それがIPOともなれば尚更です。レオスではこれから新規上場する企業がロードショー(新規公開時の機関投資家向け説明会)にいらっしゃった際には、サプライズイベントとして赤絨毯を敷き、玄関に設置してある鐘を鳴らしてもらっています。これは東証の上場セレモニーを模したもので、当日の予行練習ということなのですが、このときレオスの社員も社内にいる人はみんな玄関に出てきて、拍手をしてお祝いします。それは、我々から企業や経営者に対するリスペクトの表れです。

Q. 今後チャレンジしてみたいことはありますか?

今やりたいことを常にやっていますとお答えした通り、今後と言う意味ではあまりないかもしれません。

ファンドマネージャーの仕事を語るという点で少し珍しい切り口かもしれませんが、今は将棋にも注目しています。

将棋に注目するようになったのは、とある企業のご縁で9段をもっているプロ棋士の方と対局する機会があったのがきっかけです。昔は将棋をやっていましたが、30年ほど駒も触っていないという状態で、それでも色々練習して挑みました。すると、ハンデ(二枚落ち)があったとはいえ勝ってしまったんです。将棋に触れていなかったのに、昔の自分よりも強くなっていました。

それで感じたのは、投資と将棋には通じるものがあるということです。投資では、“マーケット”と“私”と“それを見る第3者的な視点”が大切になりますが、将棋にも通じるところがあると思っています。

ちなみに客観視というところで若い人、特に新卒の人にアドバイスすることがあるのですが、「シールを買う」ことをお勧めしています。例えば自分のなかで苦手な事や嫌なことなんかを1単位として、何か嫌なことがあったらシールを貼っていくんです。「今日は3ポイント分だな」というように。(笑)そして、予め決めた数が貯まったら、焼肉を食べにいったり服を買ったり、自分にご褒美をあげてください。誰かとこれを共有しながらすると、嫌なこともただ感情的に捉えるのではなくて客観視できるようになります。

Q. 最後に一言お願いします。

何事も楽しむ姿勢が重要だと思います。損得だけではなく楽しいかどうかという軸も重要になってくるのではないでしょうか。ただ、“楽しい”と“楽”とは、字は一緒でも全く異なります。失敗したり、怒られたり、苦しかったり、そういったことも含めて楽しむことができるかが大切だと思います。私にとっては、運用という仕事が何よりも楽しく、全力を尽くせる仕事です。

インタビューを終えて

「ひふみ」を国内では屈指の規模に育て上げたにもかかわらず、「まだまだこれから」と話す謙虚さとビジョンの大きさが印象的でした。そして、もうひとつ感じたのは社内の風通しの良さです。オープンなスペースでお話を伺っている途中、何人かの社員の方がいらっしゃったのですが、とてもフラットに、気軽にコミュニケーションをとられていました。レオスには、そうした藤野氏のビジョンや、お人柄に惹かれた方々が集い、そして「ひふみ」を支えているのだと感じました。
投資家の皆さまには藤野氏だけではなく、レオスという“チーム”にもぜひ注目していただければ思います。

SBI証券 田村

インタビュー一覧