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会ってみた!
10社ファンドマネージャーに
独占インタビュー!INTERVIEW

自らの哲学を貫き通すプロフェッショナル
奥野氏が“全て”をかけるものとは

奥野 一成氏
運用ファンド「農林中金<パートナーズ>米国株式長期厳選ファンド」
農林中金バリューインベストメンツ株式会社 常務取締役(最高運用責任者)

Q. ご出身は?

違ったことをする人が尊ばれる風潮

生まれは大阪です。高校、大学は京都に通っていました。

関西人は変わったことをする人が多いというか、みんなと違ったことをする人が尊ばれる風潮があるので、そういった部分は私も持っているかもしれません。

Q. 好きな食べ物はなんでしょうか?

から揚げとかポテトとか、“さっ”とつまめるものが好きですね。以前ディーラーをやっていましたから食べるのは早いですよ。

Q. こどもの頃の夢はなんでしたか?

私たちの世代にありがちですが、野球選手ですね。もしくは、なぜだか全く分からないのですが、政治家にもなりたかった。就職のときは最初、コンサルを志望していました。色々なご縁があって金融の世界に飛び込みましたが、結果として今、好きなことをしています。それは良かったなと思います。

Q. 座右の銘を教えてください

「知行合一」

「知行合一」です。中国発祥の学問である陽明学の考え方ですが、知っていることと行うことは同じである、簡単に言ってしまえば行動の伴わない知識には意味が無いということです。

司馬遼太郎の「峠」が愛読書なのですが、主人公である河井継之助が陽明学を学んでおり、その生き様に多大な影響を受けました。

陽明学では、例えば桜が綺麗に見えるのは、桜そのものが綺麗なのではなくて、桜を見る人がそれを綺麗と感じる澄み渡った心を持っているからと考えます。そして学問はその「心」を澄み渡らせるためにするのだ、ということですね。

Q.1週間休みがあったら何をしますか?

好きなこと=仕事

南の島に行って寝ます。(笑)
というのは冗談ですが、何も思いつきませんね。やはり、今やりたいことをやっているからだと思います。所謂「ワークライフバランス」というものを意識したことがないのですが、仕事もプライベートも関係ないくらい、好きなことを仕事にできているということです。そういった意味で、周りからは羨ましがられます。

Q. 運用しているファンドやその運用方針の紹介をお願いします。

5年間マーケットが閉まっても問題がない、一度買ったら売る必要のない企業、つまり、長期的に成長が期待できる強い企業を厳選して投資するファンドです。ファンドを通して伝えたいのは、“資本家になりましょう”ということ。強い企業に投資をすれば、これらの企業が世界中で稼いできてくれます。私たちは、その企業の株主として、その収益の一部を受け取ります。もっと日本に投資の本質を根付かせたいと考えています。

Q. ファンドに対する想いを一言で表すなら

生き方そのもの

このファンドは私の生き方そのものなんです。今の私はこのファンドに時間もお金も“オールイン”している状態です。具体的には、このファンドのファンドマネージャーであり、投資家であり、NVICの経営者であり、そして株主でもあります。自分がやりたいからやっていることなので、もしNVICという会社が無くなっても、一人でやっているんじゃないでしょうか。一人でもやるけれど、想いを共有できる人たちが集まってきてくれたら良いなと思っています。

Q. 他のファンドマネージャー(または運用会社)に「ここは負けない!」というアピールポイントを教えてください。

確固たる投資哲学と、築き上げた企業との関係性

日々の値動きを気にせず「永続的な企業価値増大を追求する」という投資哲学については、確固たるものがあります。

加えて言うなら、世界の市場を対象に運用をしているチームとしては、日本の中で一番だという自負があります。その会社のビジネスについて深く語り合える、それほどまでに企業と関係を築くのは非常に時間がかかり、簡単なことではありません。それが出来ているのは、私たちが持つ強力な参入障壁だと思います。海外の株式に投資するファンドを運用するためには、現地に出張に行かないと分析が進まない、しかし分析が浅いと資金が集まらず出張に行けない、というジレンマがつきものです。

しかしながら、農林中金は私たちの投資哲学をサポートし、最初からお金を出してくれました。身内のことながら、経営の頭も柔軟だなと感じましたね。

Q. 一目置いている経営者の方はいらっしゃいますか?

日本電産の永守さんです。圧倒的に面白い方だと思います。まず人として面白いですし、元気がないときに見ると元気が出ます。もちろん、永守さんほどの経営者であってもなかなか上手くいかないこと、というのはあると思うのですが、そういうことはおくびにも出さない。それも経営者としての資質のひとつなのではないかと思います。

それから、永守さんには“モノづくり”という面でも共感する部分が少なからずあります。というのも、私たちの投資は「モノづくり」に近いスタイルだと考えているからです。投資をする際には、色々な仮説を組み立てて一つの形にしていきますが、これは“勘”や“気持ち”とは違うロジカルで精緻なものです。そうしたプロセスを経ながら良いものを組み立て、そして単にそれを売って終わりではなくアフターケアをしっかりする(=納得感のある運用報告を行う)、それが私たちの目指すところでもあります。

Q. 今後チャレンジしてみたいことはありますか?

日々挑戦

“今後”というよりも私たちは常に何かしらのチャレンジをして、小さなトライ&エラーを繰り返している感じです。例えるなら“良い車を作るにはどうすればいいか”を常に考えて改善しているメーカーのようなものです。生産性を上げるというのもその一環で、つい最近ペーパーレス化を進め、膨大な会議用の資料も端末一つにまとめるようにしました。社内外には難色を示す声もあったのですが、やるべきと思ったことは断じてやります。そういった面で私たちのスピード感は早いですし、やろうと決めたらすぐにやります。それも投資家や投資先の企業のために何をしたら良いか、常に考えているからです。

最近は、経営者の立場が分かるようになってきました。新しいものを作るときに組織は強くなる、という気づきもそのひとつで、日々挑戦することが必要だと感じています。

Q. 最後に一言お願いします。

“投資”とは何かを問いかける

個人投資家の皆様に伝えたいのは、株価がいくらで割安か割高かという目線ではなく、価値が増大するものを買いましょう、ということです。そうするとロジカルに考えれば米国株に行き着くと思います。それから、投資というものについて今一度考えていただきたいなと思います。“投資”というと、単にお金に関することと結びつけてしまいがちですが、私は“投資”というのはもっと広義に捉える必要があると思っています。お金だけではなく時間や才能などを含めて、今あるものを未来のためにかけていくこと、それが投資なのではないでしょうか。日本人の“投資”に対する考え方を変えていくためには、もっと若い世代に向けて話さなければいけないと考えています。そういった取組みもできないか、考えているところです。

インタビューを終えて

まさに人生をかけて“投資”というものに向き合っている、そんな奥野氏の情熱とぶれない哲学が伝わってくるインタビューでした。「“投資”とは何か?」「ビジネスとは何か?」「仕事とは何か?」、これからの日本を築いていくうえで大切なことのヒントが、散りばめられているように思います。
奥野氏の情熱と積み重ねてきた実績は、資産を“信じて託す”ことができる、プロフェッショナルと呼ぶに相応しいものではないか、そう感じました。

SBI証券 田村

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