国内株式東証再開以降、過去5回の「子(ね)年」はまさに波乱万丈

2019年を日経平均から振り返る

2018年に年末にかけて株価が下げた影響で、2019年は低い発射台からのスタートになりました。その恩恵もあり2019年はなかなかの好パフォーマンスになりました。 もっとも、米中通商摩擦の激化や消費税引き上げ等、不透明材料が多く、企業業績は予想を下回るなど、ファンダメンタルズ的には厳しい1年になりました。しかし、米国が主導する世界的な金融緩和状態の中、米中通商協議の一部合意もあり、特に年末にかけて株価は上昇局面となりました。
日経平均株価が昨年10月に付けた2万4千円台半ばまでもどってくれば、いよいよ「失われた20年」を克服してさらに前進できるとの空気が強まってきそうです。

2020年の国内株式の展望

東証再開以降、過去5回の「子(ね)年」はまさに波乱万丈です。「列島改造景気」の拡張期にあった1972(昭和47)年に日経平均株価は92%も上昇。半面、リーマンショックの起こった2008(平成20)年は42%の下落でした。平均すれば23.8%の上昇率は「辰年」の28%に続き第2位、相場格言通りであれば「繁栄」が期待できそうです。
その意味で、東京五輪は「繁栄」を体感できる素晴らしいイベントになるかもしれません。ただ、その熱狂から覚める8月頃は例年同様、市場が冴えない展開になるかもしれません。2020年も米中通商問題は市場の関心事で、それにもよりますが、夏場には20,500円程度まで下げるリスクがあります。ただ、消費税引き上げから1年を経過し、秋ごろからは株価も反転しそうです。年末には26,000~27,000円の水準に到達しているかもしれません。

2020年の国内株式の注目のテーマ、キーワード

米中通商摩擦も、そもそも「5G」をはじめ、次世代の技術で中国が米国を凌駕するかもしれないという恐れが背景のひとつとなっていると思われます。その意味で、来春から商用化が始まる「5G」は依然、最大の注目テーマでしょう。5Gの通信技術で可能になる自動運転などは、五輪の会場でアピールされそうです。さらに、全固体電池や量子コンピュータなども、その関連銘柄が活躍する余地がありそうです。
なお、株式市場には時価総額が大きく、業績も底堅いものの、予想配当利回りが高い銘柄がまだまだ放置されています。「バブル後高値」のその後を目指す日本株ですが、利益や資産、配当面を考慮したうえでの割高感は少なく、むしろその割安感の修正そのものが、株式市場のテーマであるように思われます。

鈴木 英之
SBI証券 投資情報部長(日本証券アナリスト協会検定会員)

早稲田大学卒。旧日栄証券(現SBI証券)入社、リテール営業、調査部、株式部等を経て、SBI証券投資調査部長に。ウエルスアドバイザー株式会社(調査分析部ゼネラル・マネジャー)へ転籍を経て2009年5月より現職。ラジオNIKKEI(月曜日)、ストックボイス(木曜日)等でコメントを発信中。ダイヤモンドZAIなど、定期的寄稿も多数。

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