情報通信サービスIoT、5G関連銘柄の注目が高まる

2019年の情報通信サービス業界を振り返る

2019年は、携帯新時代に向けての新たな動きが活発化する1年となりました。「5G(第5世代移動通信システム」については、2019年4月に、携帯大手3社と、楽天に全国展開が可能な電波免許が割り当てられました。その後、大手携帯各社は2020年の商用化に向けて、様々なプレサービスを展開しています。また、来るべき「5G」時代に向けた加入者地盤強化のために、携帯大手では企業統合や提携の動きも活発化しました。2019年10月には、改正電気通信事業法が施行され、携帯端末の過度な値引きが規制されることとなりました。自前設備による楽天の携帯電話サービスについては、基地局建設の遅延などにより、2019年秋に予定されていた商用サービスが先送りとなりました。

2020年の情報通信サービス業界の展望

2020年は、マイナスの動きとプラスの動きが交錯する展開になるでしょう。マイナスの動きは楽天の携帯電話サービスの商用化開始です。楽天は、限定的なエリア・ユーザーに対し、2019年10月より、無料サポータプログラムを開始しており、2020年春までに商用サービスを開始する予定です。ただし、2019年12月には通信障害の発生で、総務省の行政指導を受けることとなり、携帯サービスの立ち上げが難しいことを改めて印象付ける結果となりました。基地局展開のペースを鑑みれば当面は緩やかな立ち上げになるとみられます。一方、プラスの動きは、携帯各社が2020年春に予定している5Gの商用サービス開始です。2019年半ばより、携帯各社は様々なトライアルサービスを展開していますが、この5G商用サービス開始により、2020年のオリンピックに向けて新サービス立ち上げの動きが活発化するとみられます。

2020年の情報通信サービス業界の注目のテーマ、キーワード

2020年の注目テーマは「IoT(Internet of Things)」と「5G」です。「IoT」では、身の回りの全ての電子機器や各種家電、自動車、監視カメラや各種センサーなど様々なものがインターネットにつながり、より便利な世界が広がります。これまでも注目されてきた分野ですが、「高速・大容量」「多数の端末への同時接続」「低遅延化」などの特徴を持つ「5G」と組み合わされば、より大きなポテンシャルが生まれます。「5G」には、企業や自治体などの事業者が、5Gを小規模なエリアで活用する「ローカル5G」もあり、工場の自動化や防災対策などへの活用が期待されています。総務省は、2019年12月下旬に、この「ローカル5G」の免許申請受付を開始しており、大手電機メーカなどが申請の意向を明らかにしています。携帯各社の「5G」商用化や「ローカル5G」の動きの活発化により、「IoT」「5G」関連銘柄への注目が更に高まると思われます。

森行 眞司
SBI証券 企業調査部(情報通信サービス・インターネット業界担当 シニアアナリスト)

1988年に大和証券に入社しアナリスト業務を開始。以来、三菱UFJモルガンスタンレー証券、SMBC日興証券、シェアードリサーチにて、約30年にわたりアナリストとして調査・分析に携わる。担当分野は、機械、自動車・自動車部品業界、情報通信サービスなど。また、IT・情報通信・メディアセクターのチームヘッドを歴任。6年半の欧州(ロンドン、フランクフルト)駐在時には、情報通信、運輸、素材などの欧州企業の調査業務にも従事した。 1992年以降は情報通信サービス業界を中心に担当。 日経ヴェリタス、Institutional Investorのアナリストランキングでは常に上位にランクイン。トムソンロイターのスターマイン・アナリストアワードでは、通信部門で計4回の首位を獲得。 2017年6月末より現職。幅広いセクター経験を活かし、情報通信サービス業界の主力銘柄とともに、周辺銘柄の発掘にも注力する。

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