世界の自動車販売台数は、昨年対前年比で3%程度の減少を見たが、今年も2-3%の微減と予想する。世界最大の市場である中国は2,600万台程度とほぼ横ばい、2位の米国も1,700万台の大台を挟み高水準ではあるが微減、3位の日本も消費税引き上げ後の販売低迷が続き500万台程度と微減、4位のインドは金融機関による貸し渋りと環境規制強化及び景気減速が続き低水準で横ばい、その他新興国も東南アジアで景気の減速基調が鮮明になるなど、総じて需要は弱いと推測する。一方でCASEやMaaSといった従来とは一線を画す業態が急成長し、“ハード・モノ”を主体とする事業から“サービス・コト”を中心とした、新しいビジネスモデルが出現しつつある。自動車は100年に一度と言われる大転換期を迎えており、リスクも大きいが、オポチュニティーも多く存在するセクターだと言えよう。

自動車2020年の自動車セクターの展望
2020年の自動車セクターの展望
2020年のキーワード
自動車業界では昨年末にFCAとPSAの合併が承認された。自動車部品業界でも、ホンダ系列の3社(ショーワ・日信工業・ケーヒン)が事実上、日立オートモティブに吸収合併されることが決まっている。2020年は更にこの動きが本格化し、自動車業界・部品業界内に留まらず、異業種も含めた大規模な業界再編が起こりうる。これは昨年に引き続き今年も、CASEとMaaSがこの業界を席巻すると考えるからである。即ち、C(コネクテッドカー)、A(自動運転車)、S(シェアリング)、E(電動化)であり、Mobility as a Service(ハードではなくサービスを主体とした移動ビジネス)である。莫大な研究開発費と設備投資が必要となり、その開発競争が激しさを増す一方で、GAFAと呼ばれるプラットフォーマーなど、異業種との競争もしくは提携も既に始まっている。日産とルノーの提携の形も、大きな変化を迎える可能性があるし、海外企業による日系企業の買収、またその反対もありえよう。
2020年東京オリンピックで本格化する自動運転技術
自動運転に於けるLEVEL3を搭載した初の量販車、Audi e-tronが欧州で発売された。ホンダも今年発売される新型レジェンドにLEVEL3を搭載する予定である。トヨタや日産、ダイムラー・GM・Teslaなども、量販車種への搭載が近いとされる。LEVEL3はLEVEL2までの自動運転とは画期的に違い、人ではなく機械による制御のコントロール範囲が格段に広くなる。東京オリンピックでは更に進み、トヨタによるLEVEL4の技術を搭載したバスなどにより、選手・関係者の移動がなされる模様だ。日本では道路交通法などの改正や万が一事故になった場合の責任所在、保険や自動運転に対応した道路整備など、課題は山積しているが、海外では中国や米国などで、一早くその導入を進めている国もある。大型ドローンを使った空飛ぶタクシーの実用化もそう遠くはないと聞く。事故や渋滞を無くし環境にも優しいといわれる自動運転技術、オリンピックを契機に更に前進するものと考える。

遠藤 功治
SBI証券 企業調査部(自動車、AI・ロボット担当 シニアアナリスト)
1984年に野村證券入社、以来、SGウォーバーグ、リーマンブラザーズ、クレディスイス他、欧米系の外資系投資銀行にて活躍、証券アナリスト歴は通算35年に上る。
約30年間は自動車・自動車部品業界、3年間は電機・電子部品業界の担当として業界・企業分析に携わる。日経アナリストランキングやInstitutional Investors ランキングでは、常に上位の評価を得る(1999年日経アナリストランキング自動車部門第1位)。
2016年からSBI証券にて、企業調査部を立ち上げると共に、引き続き自動車・自動車部品のリサーチを担当、最近ではイスラエルやシリコンバレーのスタートアップを中心に自動運転(ADAS)、人工知能(AI)、宇宙関連分野のリサーチも手掛けている。
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