自動車2021年の自動車セクターの展望

2020年を振り返って

2019年の自動車セクターは新型コロナで始まり、カーボンニュートラルで終わった。中国で新型コロナが蔓延、この影響で2月の販売台数が80%以上減少した。世界最大の自動車市場がこの落ち込み、続いて影響は欧州・米国・アジアと広がり、4-6月は大半の自動車関連企業が赤字に陥った。全く収束が見えず、世界の新車販売は前年比半減に、大半の自動車・部品会社は通年でも赤字転落か、そう思われていた春先が、今から思うと業績も株価も大底であった。各国による景気浮揚策や新車購買の補助金、公共交通機関を避けマイカーに流れる傾向も高まり、中国・米国・欧州と需要は急速に回復した。これに伴い株価も堅調に推移、テスラ株の大暴騰もあり、市場は1年を通して電動車へのシフトを囃した。トヨタ株は約5年振りに一時的に8,000円の大台を回復した。

2021年の展望

各国が2030-2040年でガソリンエンジンのみの車の販売禁止を打ち出した。あの米国でさえも新大統領による“バイデンシフト”で環境重視の政策に大きく舵を切る模様。これにより中国・米国・欧州と電動車への傾斜が更に進むこととなる。国内ではまだハイブリッド車が中心だが、中国や欧州ではEVが環境対策車の中心。テスラに加え中国のEVメーカーが多数台頭、日系各社も遅ればせながら小型EVを中心に本格的にEV市場へ参入、加えてトヨタは水素燃料を前面に出し、新型ミライや大型トラックの開発を進める。各国の電力政策も巻き込み、ESGやSDGsの影響も受け、2021年は益々環境対策車への注目が集まるであろう。

2021年自動車セクターの主なテーマ

CASEと言われて久しいが、このうち2020年は圧倒的にE(電動化)がテーマであった。2021年はこのEに加えて、CとAが主なテーマに加わることとなろう。Eは2021年も引き続き重要な相場のテーマであろう。世界的な環境規制強化、技術的革新とコストダウンが著しい電池、そして各国による補助金の増加などにより、EVの販売増に更なる拍車がかかろう。加えて5Gによる通信コンテンツの拡大やサイバーセキュリティーの強化で、C(コネクテッド車)の飛躍的な増加が起こる。またホンダがLEVEL3の自動運転車を世界で初めて投入、大手に加え、世界中のスタートアップ企業が自動運転技術を競っている。パンデミックや金利上昇、円高や米中貿易戦争など、懸念材料も多岐にわたるが、電動車関連でなお優位に立つトヨタやトヨタ系列部品企業、新興国での需要回復を見込んだスズキやヤマハ発動機、業界再編が本格化しそうな自動車部品関連株には、堅調な動きを予想している。

遠藤 功治
SBI証券 企業調査部(自動車、AI・ロボット担当 シニアアナリスト)

1984年に野村證券入社、以来、SGウォーバーグ、リーマンブラザーズ、クレディスイス他、欧米系の外資系投資銀行にて活躍、証券アナリスト歴は通算35年に上る。
約30年間は自動車・自動車部品業界、3年間は電機・電子部品業界の担当として業界・企業分析に携わる。日経アナリストランキングやInstitutional Investors ランキングでは、常に上位の評価を得る(1999年日経アナリストランキング自動車部門第1位)。
2016年からSBI証券にて、企業調査部を立ち上げると共に、引き続き自動車・自動車部品のリサーチを担当、最近ではイスラエルやシリコンバレーのスタートアップを中心に自動運転(ADAS)、人工知能(AI)、宇宙関連分野のリサーチも手掛けている。

2021年セクター別予想

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