不動産・運輸セクターテレワーク・巣籠り消費が定着、データセンター開発等で下支え

2020年の不動産・運輸セクターを振り返る

コロナ禍による外出自粛、インバウンド旅客の激減により、不動産、運輸セクターとも大きな影響を受けた。特に運輸セクターの旅客関連では、鉄道・航空各社が旅客減、ホテル稼働率低下で大幅な損失を計上、減便などコスト削減に取り組むが、売上回復には時間を要する模様。
一方、テレワークなど新しい生活スタイルにより、郊外などで戸建志向が高まったほか、巣籠り消費によりEC物流が好調に推移。商業施設の賃貸でも、オフィスワーカーが減少した都心店舗が苦戦、密を回避でき、車移動によるレジャーの代替需要もあった郊外SCが堅調と明暗を分けた。

2021年の不動産・運輸セクターの展望

21年はワクチン開発等によりコロナ禍から緩やかに回復に向かうとみるが、テレワークが浸透、出張抑制等もあり、オフィスや鉄道、ホテルなどの需要は従来水準には戻らないと考える。
住宅関連では、政策支援効果による需要押上げに加え、マンションではホテル開発減少に伴う用地コスト低下がプラスであるが、価格競争力や郊外需要により戸建の優位性が続くと考える。
物流関連では、巣籠り消費の定着によりEC・定温食品物流の需要が引き続き期待できるとともに、国内外の経済活動再開やワクチン輸送により航空貨物など国際物流の回復傾向が続くとみる。

2021年の注目のテーマ、キーワード

不動産、運輸セクターとも、多くの資産を抱えており、需要に見合った機動的な転用が問われよう。
東京五輪の開催が21年7月に延期、開催の有無にかかわらず、今後のホテル戦略の見直しタイミングとなり、品川・芝公園エリアなど建て替えによるオフィス・商業施設との複合開発に注目。
不動産用途別では、テレワークの浸透によりオフィス需要が減少する一方、住宅に近いサテライトオフィス、通信需要の増加でデータセンターの需要が高まろう。数年前に有望用途として注目され始めた物流施設と同様、先行的なノウハウ蓄積、用地手当などで明暗を分けることになろう。

小澤 公樹
SBI証券 企業調査部(不動産・住宅・運輸担当 シニアアナリスト)

1987年に三洋証券に入社、1993年から不動産・運輸業界担当のアナリスト業務を開始。
1998年に新日本証券(現みずほ証券)、1999年に国際証券(現三菱UFJモルガンスタンレー証券)に入社。2020年6月にSBI証券に入社。 主力企業に加え、不動産テックやインバウンド関連、EC物流など成長企業の調査に注力。最高順位は日経アナリストランキングで不動産・住宅で3位(2014年)。

2021年セクター別予想

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