情報通信サービス2021年が「5G」サービスの本格普及元年に

2020年の情報通信サービスセクターを振り返る

2020年の情報通信業界では、中核の通信サービスにおいて、あわただしい1年となりました。3月末には、携帯各社が相次いで「5G(第5世代移動通信システム)」の商用サービスを開始し、新たな市場に対する成長への期待が盛り上がりました。その一方で、楽天が4月に自前携帯サービスの商用サービスを開始し、競争激化懸念が台頭しました。年後半になると、菅首相就任に伴う携帯料金割高論の高まりで、携帯電話業界に対する収益悪化懸念が台頭。大手通信各社も、年末に向けて新たな料金プランの発表や複雑な料金体系の見直しなどを実施しました。

2021年の情報通信サービスセクターの展望

2021年は値下げに対する懸念が後退し、「5G」に対する期待が盛り上がる1年になると思われます。「5G」サービスは、2020年に商用化が開始されましたが、使える場所や端末が少なかったこともあり、盛り上がりに欠けた1年となりました。しかし、2020年秋に発売されたiPhoneが5G対応になるなど、5G対応端末のラインナップも拡充し始めています。また、「5G」の基地局整備も2021年に大きく進展するとみられます。大手携帯各社が、総務省に提出した「5G」の基地局展開計画によると、2021年3月末の人口カバーは約20%に過ぎませんが、2022年3月末は約50%になると試算されます。各社ともにこの設備投資計画を前倒しする意向も明らかにしています。さらに、春先からは、つながりやすい「4G」の周波数帯域を転用した「5G」サービスも本格化する予定です。これらの点を鑑みれば、2021年は、年央から「5G」サービスに対する期待が盛り上がるものと思われます。

基地局整備の進展で「5G」「IoT」への注目度が更に向上

2021年の注目テーマは、「5G」と「IoT(Internet of Things)」です。先述したように2021年の「5G」基地局の展開は大きく進展し、様々な新サービスが登場すると見られます。「IoT」では、身の回りの全ての電子機器や各種家電、自動車、監視カメラや各種センサーなど、様々なものがインターネットに繋がり、より便利な世界が広がります。これまでも注目されてきた分野ですが、「高速・大容量」「多数の端末への同時接続」「低遅延化」などの特徴を持つ「5G」と組み合わされば、より大きなポテンシャルが生まれます。これを機に、「5G」「IoT」関連銘柄への注目が更に高まると思われます。

森行 眞司
SBI証券 企業調査部(情報通信サービス・インターネット業界担当 シニアアナリスト)

1988年に大和証券に入社しアナリスト業務を開始。以来、三菱UFJモルガンスタンレー証券、SMBC日興証券、シェアードリサーチにて、約30年にわたりアナリストとして調査・分析に携わる。担当分野は、機械、自動車・自動車部品業界、情報通信サービスなど。また、IT・情報通信・メディアセクターのチームヘッドを歴任。6年半の欧州(ロンドン、フランクフルト)駐在時には、情報通信、運輸、素材などの欧州企業の調査業務にも従事した。 1992年以降は情報通信サービス業界を中心に担当。 日経ヴェリタス、Institutional Investorのアナリストランキングでは常に上位にランクイン。トムソンロイターのスターマイン・アナリストアワードでは、通信部門で計4回の首位を獲得。 2017年6月末より現職。幅広いセクター経験を活かし、情報通信サービス業界の主力銘柄とともに、周辺銘柄の発掘にも注力する。

2021年セクター別予想

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