ビジネスソリューション確かに環境は変わったが株価の居所はそれ以上に変わった2020年

2020年の振り返り

2020年はCOVID-19により、業界の状況が一変しました。緊急事態宣言下であった4-6月期、その後の7-9月期については受注活動や案件進捗等の遅れが発生し、主要システムインテグレーター群はこれまで続いていた増収増益トレンドと比べやや弱含んだ決算となりました。しかし他セクターに比べその影響はごく軽微といえる程度に留まったとみています。むしろ7-9月期以降、リモートワーク環境の整備、クラウドサービスの導入、それらに伴うネットワーク増強、アフターコロナを見据えたDX推進など、様々な側面でIT投資意欲が従前より更に旺盛となりつつあるようです。また中小型ITサービス企業群の中には、もともと成長トレンドだったところに更なる需要の波が訪れた結果、COVID-19の悪影響を殆ど受けずむしろ飛躍的な成長を遂げたようなケースも散見されました。

2021年の展望

2021年以降の成長スピードを加速させ得るほどの環境変化が2020年に訪れた事は確かだと思っています。しかしそれを考慮しても株価は過熱しているように感じます。まず主要システムインテグレーター群は、どれだけクラウドシフトやDXを謳っていても、本質的には未だ人員数に大きく依存した成長モデルのままです。需要がどれだけ増加しても、供給、すなわちエンジニアの数が増加しなければ成長速度は向上しません。その意味では、需要側に対する期待だけが過剰に高まっていないか留意する必要があると思います。また中小型ITサービス企業群においては、必ずしも人員数に依存せず成長が可能なモデルを確立している企業が多い一方で、全く人員採用が必要ない企業はおそらく存在せず、また成長加速を目的に多額のコストを投じる企業も散見されます。本当に固定費の増加が限定的なのか、現状投じているコストは本当に全てが一時的な費用と言えるのか、などを可能な限り見極めた上で現実可能な範囲の売上・利益水準を予測し、現状の株価水準で買うべきかどうかを慎重に考える必要があると思っています。

2021年のキーワード

キーワードは「チキンレース」です。ファンダメンタル分析は勿論重要で意味のある分析だと思っていますが、昨今はそれだけで説明のつかない状況に出くわす事も多い印象を持っています。その時は、多面的に現状を捉え、そして何より“金余り状況”を意識し、どこかでチキンレース感が漂っている可能性を頭の隅に置いた上で市場を俯瞰すると良いのではないかと考えています。

畑田 真
SBI証券 企業調査部(ビジネスソリューション担当 アナリスト)

国立名古屋工業大学を卒業後、2013年に東海東京証券に入社。
地方支店や基幹支店における個人営業、投資銀行部門における株式引受業務や債券引受業務を経験後、2015年10月より東海東京調査センターに出向しアナリスト業務に携わる。
半年間のアシスタント経験を経て、2016年4月よりビジネスソリューションセクターを新規に立ち上げ担当。2018年日経ヴェリタスでは初登場13位にランクイン。2018年11月より現職。
準大手証券でのセルサイドアナリスト経験を生かし、主力銘柄のみならず、アナリストカバレッジが少なく且つエッジの効いた中小型銘柄を発掘する事に注力。

2021年セクター別予想

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