自動車100年に一度の大変革を迎えつつある自動車業界

2021年:半導体が足りない→車も足りない

2021年は年初から米国・中国・インドと、前年にコロナ禍で落ち込んだ新車需要を積極的に取り戻すという動きから始まった。各地で新車販売は好調、漸く需要の拡大局面に入ったと思われた春先、2つのCでこれが逆回転を始める。即ち、Chip(半導体)の不足、そしてCovid-19 感染拡大によるサプライチェーンの混乱である。前年に新型コロナ感染拡大が始まった途端、自動車各社は新車需要の減速を予想し半導体の発注量を減らした。一方で巣籠需要が発生、PCやゲーム、通信向け半導体の需要が俄然活況となった。皮肉なもので、新車需要もコロナ禍に於ける自家用車需要の高まりで想定を超え回復、半導体の取り合いが始まった。新車の需要自体は強いのだが兎に角半導体不足のせいで、各社大幅に減産となる。これが現在に至るまで、新車の供給不足を引き起こした。

2022年:ブースター生産で回復なるか

新車の供給不足は新車・中古車価格の高騰を引き起こし、生産する横から完売されるという、新型携帯電話かゲーム機のような市場を創出した。自動車各社は減産続きで稼働率の低下、機会損失に直面したのだが、手持ち在庫が枯渇した状況が続いたことで、特に稼ぎ頭の米国に於いて、値引きの抑制・残存価格の高騰・値上げし易い環境も生んだ。自動車各社は未だ半導体の調達に苦戦中、2022年も上期を中心にタイトな半導体需給が続くと見られ、自動車の所謂挽回生産がどの程度まで進むのかが焦点となる。新車需要は、米国・中国・インドなど依然として非常に旺盛、生産した分だけ売れるというセラーズマーケットが各地で出現している。如何に需要にマッチした供給が出来るかが焦点となる。

2022年:自動車セクターの主なテーマ

このような中で、2022年もEVを中心とした電動化が引き続きメインテーマとなる。欧米各国が2030年から40年をメドに、カーボンニュートラルを推し進め、ガソリンエンジン搭載車の販売を規制、EVの販売比率を大幅に引き上げる政策を打ち出している。比較的EVに対して後ろ向きと言われていたトヨタでさえも、2030年までに電動車へ8兆円の投資、350万台の販売、電池の大幅な増産など、積極策に舵を切った。ホンダも2040年までに100%EV化を名言した。実際年明けから相次いで新型EVの投入が始まり、EV関連銘柄には引き続き注目が集まろう。また、自動運転でレベル3や4対応の車が開発され、サイバーセキュリティーの装備義務化も始まることにも注意が必要だ。

遠藤 功治
SBI証券 企業調査部(自動車、AI・ロボット担当 シニアアナリスト)

1984年に野村證券入社、以来、SGウォーバーグ、リーマンブラザーズ、クレディスイス他、欧米系の外資系投資銀行にて活躍、証券アナリスト歴は通算35年に上る。
約30年間は自動車・自動車部品業界、3年間は電機・電子部品業界の担当として業界・企業分析に携わる。日経アナリストランキングやInstitutional Investors ランキングでは、常に上位の評価を得る(1999年日経アナリストランキング自動車部門第1位)。
2016年からSBI証券にて、企業調査部を立ち上げると共に、引き続き自動車・自動車部品のリサーチを担当、最近ではイスラエルやシリコンバレーのスタートアップを中心に自動運転(ADAS)、人工知能(AI)、宇宙関連分野のリサーチも手掛けている。

2022年セクター別予想

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