電力・ガス・石油、運輸「脱炭素」へのシフト、「選択と集中」を進めた企業が2022年を制す

2021年の運輸、電力・ガス・石油セクターを振り返る

2021年も2020年に続き、新型コロナウイルス感染拡大影響に振り回された1年であった。 運輸セクターでは、鉄道、航空の旅客需要が低迷する一方、宅配便取扱個数はEC市場の拡大などにより堅調に推移。海上貨物、航空貨物も需要回復などで活況であった。 電力・ガスセクターでは、大手電力・ガスは電力・ガス小売自由化による顧客獲得競争が継続したことに加え、電力卸売市場価格高騰の影響が業績に影響した。また、脱炭素化への動きが活発化する中、再生可能エネルギーや水素などへの投資がみられた。
石油セクターは、原油価格が上昇したことにより業績は堅調に推移したことに加え、ガソリンなどの石油製品マージンは堅調に推移した。また、石油セクターも脱炭素化への投資シフトが鮮明となった。

2022年の運輸、電力・ガス・石油セクターの展望

2022年は2021年よりコロナ影響が小さくなることが見込まれ、コロナ前の水準に回帰するかがカギとなろう。
運輸セクターでは、鉄道、航空の旅客需要の回復である。ただ、いずれもコロナ前の水準までは戻らないとみている。また、航空旅客需要は国際線の回復までには相当時間がかかるとみられる。貨物需要は2022年も堅調に推移するだろう。ただ、国際物流は年後半に向けて供給回復により正常化されていくとみられる。
電力・ガスセクターは脱炭素への動きが加速することになるだろう。再生可能エネルギーや水素技術などへの投資が活発化するだろう。
石油セクターは原油価格動向に翻弄されつつも、業績は堅調に推移するだろう。むしろ、脱炭素の大波に対してどのように対処するのか問われる一年となろう。

2022年の注目テーマ、キーワード

3セクターに共通するテーマ、キーワードとして「脱炭素」「選択と集中」を挙げる。
「脱炭素」は運輸セクターでは、トラックや航空機、船舶で用いる化石燃料の抑制、電力・ガスセクターでは石炭や原油などの抑制などが挙げられる。その上で、代替燃料の使用や量産化開発などを推し進めることができるかがカギとなるだろう。また、代替燃料を使用する際に顧客への転嫁がきちんと行われるかもポイントとして挙げられよう。
「選択と集中」は不採算事業や事業の将来性を判断して撤退できるかということになろう。運輸セクターでは赤字ローカル線の見直し、電力・ガスセクターでは石炭火力の規模縮小の前倒し、石油セクターでは製油所の高度利用などが挙げられよう。

山崎 慎一
SBI証券 企業調査部(電力・ガス・石油 、運輸担当 シニアアナリスト)

早稲田大学大学院修了(国際経営学修士(MBA))。2004年より明治ドレスナー(現:明治安田)アセットマネジメントにてアナリスト業務を開始。
2007年国際投信(現:三菱UFJ国際投信)入社。日本だけではなくアジアの運輸、公益セクターも担当。
2011年岡三証券に入社。2021年11月にSBI証券入社。バイサイド時代を合わせると約17年間、運輸・倉庫、電力・ガスを担当。
直近の日経ヴェリタスアナリストランキング(2021年)は運輸・倉庫、電力・ガス・石油ともに6位。最高位は運輸・倉庫、電力・ガス・石油ともに5位。
日本証券アナリスト協会ディスクロージャー研究会エネルギー専門部会委員。

2022年セクター別予想

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