情報通信サービス純粋な「5G」方式の普及で法人需要が活性化へ

2021年の情報通信サービスセクターを振り返る

2021年の情報通信業界は、年後半に向け、最大の課題であった、携帯通信サービスに対する、値下げ懸念が後退した年になりました。年初の携帯通信サービスは、菅政権主導の値下げ圧力の懸念が続いていました。2020年末に、NTTドコモが割安なオンライン専用プラン「ahamo」を発表したことを皮切りに、2021年前半も、携帯各社の割安な新料金プラン発表が相次いだからです。菅政権の値下げ圧力は、世界の主要国比較で割高な水準だったことが一因でしたが、各社が新料金プランを導入した結果、日本の携帯料金の割高感も概ね解消されています。これに伴い、年後半には、この値下げの動きも一段落しています。

2022年の情報通信サービスセクターの展望

2022年は、「5G」需要が本格拡大する年になると思われます。「5G」サービスは、2020年の商用開始から3年目を迎えますが、「3G」、「4G」の時も、商用開始後3年目から、需要が本格化しました。当初は使える場所が少なく、エリアが広がるには3年程度を要するからです。また、現在の「5G」サービスは、5G基地局に、4G用のコアネットワーク設備を流用したノンスタンドアローン(NSA)方式が主流です。しかし、ソフトバンクが、2021年10月中旬に、全てを5G設備で提供するスタンドアローン(SA)方式の5Gサービスを開始し、他社も追随しています。このため、2022年は、「5G」の性能を十分に活用した新サービスが登場すると見られます。

スタンドアローン方式の普及拡大で「5G」「IoT」への注目度が更に向上へ

2022年の注目テーマは、「5G」と「IoT(Internet of Things)」です。従来の携帯サービスは「高速化」「大容量化」に主眼が置かれ、個人のデータ需要活性化に貢献しました。「5G」は、「同時多数接続」「低遅延」などの機能も加えられており、法人用途拡大が期待されています。「IoT」では、身の回りの全ての電子機器や各種家電、自動車、監視カメラや各種センサーなど、様々なものがインターネットに繋がり、より便利な世界が広がりますが、純粋な「5G」の新機能が加われば、より大きなポテンシャルが生まれます。これを機に、「5G」「IoT」関連銘柄への注目度が更に向上すると見られます。

森行 眞司
SBI証券 企業調査部(情報通信サービス・インターネット業界担当 シニアアナリスト)

大和証券、三菱UFJモルガンスタンレー証券、SMBC日興証券、シェアードリサーチ等で、30年以上に渡りアナリストを経験。過去の主な担当業界は、機械、自動車・部品、情報通信サービス等。また、6年半に渡り欧州に駐在し、欧州の情報通信、運輸、素材業界なども担当した。1992年以降は情報通信サービスを中心に担当。IT・情報通信・メディアセクターのチームヘッドも歴任する。 日経ヴェリタス、Institutional Investorのアナリストランキングでは常に上位にランクイン。トムソンロイターのスターマイン・アナリストアワードでは、通信部門で計4回の首位を獲得。2017年6月より現職。幅広いセクター経験を活かし、情報通信サービスの主力銘柄とともに、周辺銘柄の発掘にも注力する。

2022年セクター別予想

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