国内株式2022年に続き2023年も日本株が米国株をアウトパフォームへ

結局、日経平均はボックス圏で推移

2022年の日経平均はボックス圏の推移となりました。年初旬から3月頃までは、米国の利上げ開始への警戒やウクライナ情勢の緊迫化が相場の重石となりました。2月下旬にロシアのウクライナ侵攻が始まると、当初は早期終結への期待で買い戻される場面もありました。しかし、戦争の長期化に伴い、商品市況高が顕著になるとインフレへの懸念が高まりました。米国金利が大きく上昇する中、欧米を中心にグロース株(成長株)への売りが顕著となりましたが、その一方で日本は円安による輸出関連株への物色が相場を支えました。ただ、夏場を過ぎて円安に拍車がかかると、日本でもインフレ懸念が高まり相場の重石となりました。年末にかけては、欧米の金融引き締め継続による景気不安や、日本でも市場参加者の不意を衝いて金融政策の見直しが行われたことなどを手掛かりに軟調に推移しました。

米国株は雨のち薄日・・・

2023年はインフレとの戦いに注力するFRBに対し、景気配慮への政策転換を見込む市場の期待が修正される展開が想定されます。パウエルFRB議長は2023年中の利下げの可能性を否定していますが、それにもかかわらずFFレート先物などでは依然として年内の利下げ転換が見込まれています。米国経済は労働需給のひっ迫による賃金インフレが続いていることなど、インフレ圧力が緩和するには相当の時間を要すると見られます。したがって市場の淡い期待はいずれ剥落し、その局面では金利上昇+株価下落の”逆金融相場”が強まることが想定されます。その後、”逆業績相場(金利低下+株価低下)”を経て年後半から年末にかけて、2024年の利上げ転換を視野に”金融相場(金利低下+株価上昇)”への移行が見込まれます。
一方、日本株は米国株に比べて堅調な展開が想定されます。米国の”逆金融相場”局面では、米金利上昇でドル高・円安の動きとなり輸出株などが物色されるでしょう。日本の2023年の経済成長率が米国を上回ると予想(IMF予想)されていることや、インフレリスクが比較的に小さいことも日本株を支える要因と考えられます。

2023年は円安の“水準”、中国リオープンに注目

2023年は円相場の”水準”が注目されるでしょう。2022年は円相場の”変化”(円安進行)が注目され、輸入物価の上昇など円安の負の側面がフォーカスされました。2023年は大幅に円安が進むとは見ていないですが(1ドル=130~140円程度を想定)、購買力平価から見ても、歴史的な円安”水準”にあることには変わりません。輸出は2022年に進んだ円安の恩恵が顕著にみられ(Jカーブ効果)、国内回帰による製造業・非製造業の設備投資や、訪日外国人旅行者の増加(インバウンド消費)などが期待されます。
また、ゼロコロナ政策を改め始めた中国経済の再稼働(リオープン)が注目されます。現状は、コロナ規制緩和による感染者数の増加などが嫌気されていますが、いずれは欧米や日本と同様にコロナと共存しながら経済活動を行うことが予想されます。人口10億人超を抱える巨大マーケットのリオープンは、日本や欧州など幅広い国・地域の経済活動にも恩恵があると考えられます。

淺井 一郎
SBI証券 投資情報部  シニア・ストラテジスト

北海道大学工学部卒。大和証券に約20年間在籍した後、2022年にSBI証券に入社。大和証券では主に個人投資家や機関投資家向けに投資情報を提供。日本株や米国株、欧州株など国内外の株式市場や為替市場などの分析を歴任し、幅広いマーケットに精通していることが強み。

2023年セクター別予想

2022年SBI証券・注目ワード

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