国内株式2023年はどんな年になるのか

2022年の日本株は強弱材料が対立し、一進一退となった

2022年の日本株は一進一退の展開となりました。インフレ懸念が強まる中、ウクライナ・ロシア戦争がそれに拍車をかけ、米長短金利が上昇し、米国株は総じて下落基調で、それが日本株にも逆風となりました。反面、日本経済にとっては円安・ドル高が景気・企業業績の下支え要因となったうえ、年終盤は水際対策の緩和でインバウンド需要が回復の兆しをみせはじめる等のプラス材料がありました。日経平均株価の予想EPSは11月中旬にいったんピークを付けた後、その後はやや低下しました。年末にかけては、米国のスタグフレーションへの懸念が強まる中、同国株価、長期金利が低下し、円高・ドル安方向となったことから、日本株もやや波乱の展開となりました。

2023年は金融相場のスタートとなるか

2023年も米金融政策の方向感がポイントになるでしょう。2022年末の米政策金利(誘導目標上限)は4.5%で終わりましたが、市場では年央に5.0%まで上昇するという見方が中心的となっています。厳しめに5.25%との見方もあり、FOMCメンバーとの乖離は、ほぼなくなったとみられます。問題は年末までに政策金利の引き下げがスタートするか否かですが、そこは経済指標・物価指標により一喜一憂となりそうです。
いずれにせよ、米景気・企業業績の減速・悪化傾向から、米長期金利は低下し、外為市場では円高・ドル安が進みそうです。このため、日本株の物色方向も前半は内需中心に考えた方が無難ではないでしょうか。年後半は金融引き締めがピークアウトするとの期待が強まり、金融相場の入り口に立てるかもしれません。日経平均株価は年前半には低迷しそうですが、年後半は3万円台での推移も視野に入りそうです。

2023年の注目テーマは

2023年の干支は「癸(みずのと)卯(う)」で、両方ともものごとの始まりや春を連想させるものになっています。厳しい逆業績相場から上昇傾向が強まる金融相場への移行がポイントになる2023年にはふさわしい干支といえるかもしれません。
ただ、12年周期の「卯年」を振り返ると、2011年は東日本大震災があって相場が底値圏を形成し、1999年は金融危機が大手行への資金注入で節目を付け、後半はITバブルとなりました。1987年はバブル前半の金融相場からブラックマンデーの「破壊」を経て、バブル後半の業績相場へ向かいました。1975年にはサイゴン陥落でベトナム戦争が終結し、1963年にはケネディ暗殺や力道山刺殺等の血生臭い出来事がある中、黒部ダムの完成がありました。1951年はサンフランシスコ平和条約、1939年は第2次世界大戦開戦がありました。実は破壊と誕生が同居することが多いのが卯年の特徴ではないでしょうか。高度成長期に竣工した高層ビルが築50年を迎えてくるため、建設株は2023年の「意外なテーマ株」かもしれません。
その他では半導体(パワー含む)、防衛・サイバーセキュリティ、LNG関連、インバウンド等が循環的に物色されるのではないでしょうか。

鈴木 英之
SBI証券 投資情報部長(日本証券アナリスト協会検定会員)

早稲田大学卒。旧日栄証券(現SBI証券)入社、リテール営業、調査部、株式部等を経て、SBI証券投資調査部長に。ウエルスアドバイザー株式会社(調査分析部ゼネラル・マネジャー)へ転籍を経て2009年5月より現職。ラジオNIKKEI(月曜日)、ストックボイス(木曜日)等でコメントを発信中。ダイヤモンドZAIなど、定期的寄稿も多数。

2023年セクター別予想

2022年SBI証券・注目ワード

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