2022年のエレクトロニクス関連企業の業績は、インフレ影響やサプライチェーンの混乱により多くの企業が悪影響を受けた。また、業績は比較的堅調であっても金利上昇によるバリュエーションの低下により高PERであった企業を中心に株価パフォーマンスが大きく悪化した。最終需要については、自動車、産業、白物家電関連は上海ロックダウン影響を除くと比較的堅調。一方、巣篭り需要の一巡や景気減速により、スマホ、パソコン、ゲームなど民生関連製品の需要は低調に推移した。データセンタ関連の投資も夏頃から景気減速の影響を受け減速に転じた。こうした需要動向を背景にメモリー、MPUを中心に急速に市況が悪化。世界の半導体出荷金額は7月からマイナス成長に転じた。

エレクトロニクス2023年の半導体市場は4年ぶりのマイナス成長に
2022年はサプライチェーン混乱とバリュエーション調整に翻弄された1年だった
半導体市場は23年前半が最悪期となろう
2023年の最終需要は、米国の利上げにより減速が避けられない。一方、中国のゼロコロナ政策の大幅緩和が新たなプラス要因として浮上。短期的には患者数の急増による混乱が懸念されるものの、人の移動が活発化すれば、スマホなどの買い替え需要の活性化に繋がる可能性もあろう。半導体市場は、2023年前半はメモリー半導体メーカーを中心に業績悪化のニュースフローが増加しよう。だが、在庫調整の進展により2023年年央にはメモリー半導体価格は下げ止まり、2023年後半には半導体市場は明るさを取り戻す可能性が想定される。2023年年間の世界半導体出荷金額は、4年ぶりのマイナス成長をSBI証券では予想。ただし、前回マイナス成長となった2019年のエレクトロニクス関連企業の株価パフォーマンスは比較的良好であり、厳しかったのはむしろその前年の2018年であったことには留意したい。
2023年の注目テーマはEVシフト
インフレ、半導体分野における米中摩擦の激化などの不確実性は今後も継続する。一方、半導体や電池などを重要産業と位置付け、国レベルでの支援する動きが世界各地で活発化する見通し。個別では、EV車の「電費」の改善に寄与するSiCパワー半導体に注目。また、EV車普及や電池生産の拡大を促すための米国の「インフレ抑制法(IRA)」の動向にも注目。日本企業であっても、米国に電池のアッセンブリー工場を有していれば、巨額な補助金を得られる可能性があるためだ。

和泉 美治
SBI証券 企業調査部(エレクトロニクス、半導体・電子部品担当 シニアアナリスト)
1983年にエルコインターナショナル(現:京セラエルコ)に入社。1990年に英国バーミンガム大学にてMBAを取得。1991年よりUBS証券、JPモルガン証券の株式調査部で産業エレクトロニクス、民生エレクトロニクス、半導体・電子部品等の業界・企業分析に携わってきた。大型株に加え、アナリストカバレッジの少ない中小型の調査にも注力。公益社団法人日本証券アナリスト協会認定アナリスト。2008年から2012年Institutional Investor誌アナリストランキング、日経ヴェリタスでも常に上位にランクイン。2018年4月より現職。
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