医薬・バイオセクター2023年はDTx元年となるか?高血圧治療アプリ、不眠症・睡眠障害治療アプリに注目したい

2022年の振り返り

2022年も医薬・バイオ株にとって厳しい年となった。バイオ企業の重要な治験結果がいくつか開示されたが、ネガティブな結果開示が続いた。治験に失敗はつきものだが、厳しい結果となった。一方、アルツハイマー病治療薬レカネマブP3試験成功は印象深い。過去、多くのグローバル企業が挑戦したが、良い結果が得られなかった領域であり、アンメットニーズも大きい領域である。各国の当局が、同剤の安全性、使用条件をどのように判断するか、そして薬価が次の注目点となるとみるが、セクターとして注視したい。DTx領域でも進展が見られた。高血圧治療アプリの承認、睡眠障害治療アプリの部会通過など、徐々に新たな製品が登場してきているといえよう。COVID-19については、国産初の治療薬ゾコーバが登場。ワクチン接種も進み、ほぼ定常状態に戻ったといえよう。

2023年の展望

2023年、DTxの動向に注目したい。高血圧治療アプリが2022年10月に上市、睡眠障害治療アプリも2023年3-4月には上市される見通しである。どちらも、アンメットニーズが大きい領域への新しいソリューションを提供する。治療用アプリは海外では治療ガイドラインで推奨されるなど一般的なものになりつつある。日本において、実際に臨床医がこの新しいモダリティを評価するか、動向に注目したい。治療用アプリの成功例が日本でも示せれば、大手製薬企業の取り組み、ディールも過熱するとみる。

2023年の注目のテーマ

改めて、国内医療制度改革に注目したい。2023年4月実施予定の中間年度薬価改定は、前回の2021年度改定と同様、平均乖離率「0.625倍」が適応される見通し。急騰する原材料費、燃料費などへの配慮も多少あったが、製薬業界にとっては厳しいものとなった。
2023年は本改定に向け、包括的な議論が続くとみる。団塊の世代の多くが75歳以上となり、医療費増加が見込まれる2025年への向けての議論、電子処方箋やリフィルの普及に向けた施策、医師の働き方改革などについて、具体的な方向性が見えてこよう。薬価についても、イノベーションや安定供給への評価基準導入を期待したい。

川村 龍太
SBI証券 企業調査部(医薬・バイオ担当 アナリスト)

2014年に大手日系証券会社に入社。新卒より一貫してアナリスト業務に従事。2015年、ジェネリック、バイオ企業の個別調査を開始。
その後、1年の海外留学を経て、バイオセクターを立ち上げる。2019年、参天製薬にIRとして入社。事業会社サイドから資本市場との対話に注力。
2020年9月よりSBI証券に入社しバイオセクターを担当。セルサイドアナリスト、事業会社の経験を活かした、包括的なリサーチを心掛ける。
経産省の「バイオベンチャーと投資家の対話促進研究会」にも参加。

2023年セクター別予想

2022年SBI証券・注目ワード

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