放送・広告2023年は業界再編とテレビのデジタル化に注目

2022年を振り返って

2022年の主要銘柄の年初来騰落率を見ると、大半がTOPIXよりもパフォーマンスが悪く、特にインターネット関連のメディアや広告を取り扱う企業の株価が大きく調整した。広告主の出稿意欲が弱含む中、海外メガプラットフォーマ―のインターネット広告収入鈍化が注目されたと考えられる。ハイバリュエーション銘柄においては金利上昇リスクも意識されたと見られる。出稿意欲が軟調な要因は、値上げに伴う広告宣伝費のコントロール、半導体調達難による在庫不足、原材料価格高騰によるコスト抑制、グローバルな景気減速懸念など。

2023年の展望

外部環境は不透明感が強い。広告市況は景気と連動する傾向があり、グローバルな景気減速懸念は株価の上値を抑える材料となろう。過去20年間で32倍に成長したインターネット広告市場も、日本の広告費における構成比が4割まで高まり、成熟化による成長率鈍化が意識される。ターゲティング広告に利用されるサード・パーティ・クッキーが2024年後半に実質的に廃止となることも逆風だ。順風満帆とは言えない環境下だが、コロナ禍以降、抜本的なビジネスモデルの見直しや新市場の創出、株主還元強化に取り組むなど、自己変革を起こしつつある企業が増えている点が注目される。変化を恐れずに如何に不透明な時代を乗り越えていくか、個別企業の戦略が焦点となろう。

2023年の注目テーマは業界再編とテレビのデジタル化

注目テーマは業界再編とテレビのデジタル化と考える。2022年は、2021年に活性化した合従連衡の動きは一服したものの、各企業の機能拡張、人員増強ニーズは引き続き強い。景気後退懸念による広告市場の低迷やバリュエーション調整が加速すれば業界再編の動きが強まる可能性がある。中小規模の事業者の垂直統合の動きや親子上場企業の再編にも注目したい。
インターネット広告はこれまで紙媒体を置き換えて成長してきたが、2023年は岩盤だった国内テレビ広告費のインターネット化が進もう。テレビでインターネット動画を視聴する消費者が増える中、YouTubeや見逃し配信サービス「TVer」等を中心にインストリーム広告の増加が期待される。少額出稿が可能なテレビCMの効果測定サービス、運用型テレビCMの普及にも注目したい。

宝水 裕圭里
SBI証券 企業調査部(放送・広告担当 シニアアナリスト)

2009年に東海東京証券に入社し、事業法人営業、機関投資家営業に従事。2017年に東海東京調査センターに出向し、株式アナリストとして放送・広告セクターを担当。主力企業に加え、周辺の中小型株の発掘にも注力する。2022年11月より現職。
2022年の日経ヴェリタスアナリストランキングは放送・広告セクターで5位。

2023年セクター別予想

2022年SBI証券・注目ワード

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