トランプ米大統領は2025年1月の就任以降、「米国第一主義」を推し進めた。特に関税率の引き上げは、金融政策にも強い影響を与え、日銀とFRBは海図なき航路を進むことになった。一般的に、関税は成長率を下押しする一方、インフレ率を押し上げる。関税率の引き上げを一過性とみなせば、インフレ率の上昇に目をつぶることもできるが、中期的なインフレ期待を高めるリスクもある。日米の政治的な環境の違いや、中央銀行トップの政策判断などを反映して、FRBは12月のFOMCで、3会合連続の利下げに踏み切った。日銀は1月に利上げを決めた後、関税による景気下振れリスクを見極めるため、一時停止したが、年末にかけては再引き上げへ動き出した。
債券日米政局が不透明な中で海図なき航路を進む
「トランポノミクス2.0」に振り回され続けた2025年
2026年の日米金融政策を展望
2026年における日米の金融政策については、以下の通り予想する。日銀は、2026年中に政策金利を1.0%まで引き上げるだろう。市場の関心は、今回の利上げ局面におけるターミナルレート(最終到達点)に向いている。トランプ関税や日中関係悪化の影響などから、国内景気は来年にかけて減速感を強めそうだ。ただ、高市政権は「責任ある積極財政」を掲げ、矢継ぎ早に経済対策を打ち出す可能性が高い。国内景気は後退局面に陥らず、日銀は利上げ方針を維持するとみる。FRBは、FF金利の誘導目標レンジを2026年末までに2.75%~3.00%へ引き下げるだろう。2026年5月に就任予定の新FRB議長は、前任者よりもハト派色を強めるとみる。
キーワード:リスクマネジメントの巧拙がパフォーマンスを決める
日米金融市場のテールリスクとして、(1)日本の消費税率引き下げ、(2)トランプ関税の方向転換、(3)トランプ米大統領による事実上の戒厳令――の3つを想定している。まず(1)について、仮に消費税率の引き下げが決まり、早期に戻る見通しが立たなければ、日本国債の格下げリスクは高まろう。(2)のトランプ関税に関しては、円安・ドル高が一段と進んだ場合、日本はトランプ米政権から報復関税を賦課されるリスクがある。一方、トランプ米政権による追加関税措置に対し、米連邦最高裁判所が違憲と判断すれば、米財政収支は大幅に悪化するだろう。米国市場は「トリプル安」に陥りかねない。(3)は、トランプ米大統領が反乱法を発動するケースだ。事実上の米国版戒厳令になる。
道家 映二
SBI証券 経済企業調査部 チーフ債券ストラテジスト
1963年、岐阜県生まれ。1987年に東京大学法学部を卒業、三和銀行(現在は三菱UFJ銀行)に入行。外為ディーリングに携わる。出向先の三和総合研究所で日米のマクロ経済分析を担当。出向元の三和銀行に戻り、円債ポートフォリオの運用に携わる。2000年4月に三和証券(後にUFJキャピタル・マーケッツ証券、UFJつばさ証券に社名変更、現在は三菱UFJモルガン・スタンレー証券)へ出向して、チーフ債券ストラジスト。2003年にはUBS証券に入社、円債リサーチ業務を立ち上げ、チーフ債券ストラジスト。2010年にはシティグループ証券に入社、チーフ債券ストラジスト。2016年からSBI証券でチーフ債券ストラジストとして今日に至る。2000年4月から24年以上にわたり、一貫してJGBを中心とする債券チーフストラテジストを務めてきた。 内外における債券市場の需給とマネーフローに加え、日米欧のマクロ経済や財政・金融政策、政治情勢など幅広い視点から、調査・分析を行っている。 日本経済新聞社によるアナリスト人気調査(現在は日経ヴェリタスランキング)では、2002年から2015年まで10位以内。
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