激動の1年であった。放送セクターにおいては、年明けから在京キー局5社の一角の不祥事が注目され、地上波テレビ広告予算が流動化した。テレビ広告の好不況を測る指標となるスポット広告の関東地区投下量前年比は、1-3月が-8%、4-6月が-5%、7-9月が+6%で推移したが、5社間でのシェアは大きく変動し、シェアを伸ばした企業では一時的な需給の逼迫により広告単価が跳ね上がった。
4月になると株式市場では、インターネット広告業界における大口広告主企業の内製化シフトが代理店ビジネスに与える影響や、Googleなどの検索システムによるAI要約が広告媒体に与える影響が話題となった。晩夏以降は再編の動きも活発化した。電通グループは海外事業について包括的かつ戦略的なパートナーシップの検討に言及し、博報堂DYHDはデジタルホールディングスへの友好的TOBを実施した。NTTドコモとWOWOWは業務提携を締結し、12月にはNetflixがワーナー・ブラザーズ・ディスカバリーの買収を発表した。WBCの配信権をNetflixが獲得したことで、スポーツコンテンツの権料高騰や放送・配信の公共性にも注目が集まった。
放送・広告・通信雄飛に備える雌伏の一年なるか
2025年の振り返り
2026年の展望など
放送セクターにおいては、在京キー局5社の株価は2022年12月末比で平均+222%(2025年11月末現在)と、TOPIXの同+79%を大きく上回るパフォーマンスとなった。株価上昇の背景としては、2023年3月の東証による「資本コストや株価を意識した経営」指針を契機とした各社の株主還元の段階的拡充や資本効率に対する意識の高まり、アニメ・コンテンツ関連の出遅れ銘柄としての認知向上に加え、2024年後半以降のテレビ広告収入の好調が挙げられる。過去3年の株価上昇率がきわめて大きかったことに加え、来期は需給緩和に伴う業績の反動が意識されることから、2026年に過去3年と同様のパフォーマンスを期待するのは難しいと考える。ただし、還元拡充や資本効率の改善、アニメ・コンテンツ海外展開の強化といった長期トレンドに変化はなく、将来振り返れば、2026年は雄飛に備えた「雌伏の一年」と位置づけられる可能性もあろう。
海外で稼ぐ企業、株主還元拡充、業界再編・構造改革に注目
国内の放送・広告市場の成長余地は限定的であり、引き続き海外で稼ぐ企業に注目したい。具体的には、海外展開を前提にしたアニメなどのIP戦略の推進や、グローバル市場を見据えた組織・サービス開発の進展に期待する。また、資本効率の改善を意識した株主還元規模の拡充も重要な着眼点となろう。
一方で、AIの台頭により広告のエコシステム再定義が進んでいることに加え、映像配信ではLTVに着目する通信キャリアを巻き込んだ合従連衡も進展している。こうした状況を踏まえ、中期的な投資テーマとして、業界再編・構造改革も挙げたい 。
宝水 裕圭里
SBI証券 経済企業調査部(放送・広告・通信担当 Soft・FinTechチーム長 シニアアナリスト)
2009年に東海東京証券に入社し、事業法人営業、機関投資家営業に従事。2017年に東海東京調査センターに出向し、株式アナリストとして放送・広告・通信セクターを担当。主力企業に加え、周辺の中小型株の発掘にも注力する。2022年11月より現職。
2025年の日経ヴェリタスアナリストランキングは放送・広告セクターで5位。
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