産エレITサービス、防衛、ROIC経営による構造改革のトリプルエンジン

2025年の振り返りなど

2025年は、産業エレクトロニクスセクターの好業績と好株価パフォーマンスの一年であった。このセクターには3つの強力な業績/株価のエンジンがある。第一に、国内ITサービス需要の好調継続だ。企業顧客はITが競争力の源泉として積極投資を続けている。米国関税増による見通し不透明な中でも影響は限定的で、システムエンジニアの需給は過去20年で最も逼迫、つれてITサービスの案件価格が上昇している。価格決定力を取り戻した産業エレクトロニクス各社のマージン改善は目覚ましかった。第二に、防衛需要の拡大だ。地政学リスクの高まりを背景に、防衛予算は拡大、防衛装備品の海外移転(輸出)も拡大し始め、受注が急拡大した。第三に、ROIC経営による構造改革推進だ。コングロマリット色の強い産業用エレクトロニクス各社がROICを軸に事業ポートフォリオの見直しを進め始めた。日立製作所が先行していたが、富士通も複数事業をスピンオフ、三菱電機やNECも様々な案件を検討中だ。

2026年の展望など

25年に続いて26年も産業用エレクトロニクスセクターの好業績は続こう。国内ITサービス需要は好調に推移し、各社のブランド/価格戦略(先行した富士通のUvance、日立製作所のLumadaにNECのBlustellar、三菱電機のSerendi)がキャッチアップし始めており、収益性改善が続こう。防衛では、高市政権が補正予算1.1兆円を発表し、防衛予算GDP2%を前倒しで達成。今後も隣国との緊張関係などを背景に積極的な投資が続く見込みであり、かつ、防衛産業強化のための様々なインセンティブも仕掛けられている。ROIC経営では、富士通や日立製作所が先行する中、NECでROICが資本コストを上回り始めた。三菱電機も、大規模事業見直しによりROIC改善が顕著となろう。ROICが資本コストを上回るようになると現金創出能力は高まり、バランスシートが改善し、積極的な株主還元も可能となろう。三菱電機、NEC、富士通は新中期経営計画を26年春に発表する予定でカタリストとなろう。

2026年の注目のテーマ、キーワードなど

生成AI導入によるITサービスの生産性改善が、産業用エレクトロニクスセクターの収益性を押し上げる可能性がある。導入に先行する日立製作所が注目だ。

鶴尾 充伸

鶴尾 充伸
SBI証券 経済企業調査部(産業用電子機器担当 AI Techチーム長 シニアアナリスト)

2015年にシティグループ証券に移籍、通信・ITサービス・インターネット担当アナリスト。2025年のInstitutional Investors(現Extel)ランキングは通信4位/ソフトウェア7位、同年の日経ヴェリタスランキングは通信5位/ソフトウェア8位。 1990年に野村総合研究所入社、英国ロンドンビジネススクール/米国シカゴ大学MBA GSB留学を経て、民生用エレクトロニクス担当。1997年に米国公認証券アナリスト資格取得。2001年から米国野村証券でIT企業担当アナリスト、2007年から米国野村アセットマネジメントでグローバル好配当ファンドチームのポートフォリオマネージャーを担当。 2025年6月から現職。

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