2025年は医薬品セクター、バイオセクターともに市場平均を下回り、厳しい一年であった。市場では景気敏感株やサービス関連が選好され、資金が他セクターへ向かいやすい地合いが続いた。米国では IRA(Inflation Reduction Act)の薬価交渉が進展し、国際的な薬価制度に関するリスクが改めて意識されたことが医薬品株の上値を抑えた。政策面での不透明感が残るなか、投資家の慎重姿勢が続いたことも影響した。
バイオセクターでは資金調達環境の引き締まりに加え、開発イベントの振れが大きく、選好度が低下したことで上値の重い展開となった。全体として、薬価政策を中心とした外部環境が市場心理を左右した一年であったといえる。
医薬・バイオセクター政策不透明感と成長領域を読む
昨年の振り返り
2026年の展望
2026年は、米国の薬価政策を巡る議論、とりわけ MFN(Most-Favored-Nation)構想が注目されるテーマとなる。国際価格を基準に薬価を調整する仕組みへの関心が再び高まれば、企業収益や市場心理に一定の影響を与える可能性がある。一方、IRAの価格交渉は運用段階に入り、影響の見極めが進むとみられる。国内制度の動きは限定的だが、研究開発領域では新規技術や創薬テーマの広がりが期待され、テーマ性の高まりがセクター再評価につながる局面も考えられる。相場環境としては、金利の落ち着きや景気敏感株からの資金ローテーションが起きる状況では、出遅れていた医薬・バイオに資金が戻りやすい。政策リスクが整理されれば、再評価の余地は残されている。
2026年は新薬競争とパテント問題が交錯する年
2026年は、GLP-1作動薬の競争激化とパテントクリフ本格化が重要なテーマとなる。GLP-1作動薬は生活習慣病領域の市場拡大を背景に、製剤技術や利便性を巡る競争が一段と進む見込みである。市場の成長余地が大きい分野であり、開発スピードや差別化戦略が企業評価に反映されやすい。
一方、2026年以降は複数の大型品が特許満了を迎えるため、収益源の再構築が企業共通の課題となる。導入や共同研究、新規モダリティの活用など、ポートフォリオ強化の動きが活発化するとみられる。成長領域と構造改革ニーズが同時進行することで、企業間の成長格差が明確になり、市場ではテーマ選別の重要性が一段と高まる一年となろう。
川村 龍太
SBI証券 経済企業調査部(バイオ・医薬品担当 Foods・Bio Techチーム長 シニアアナリスト)
2014年に大手日系証券会社に入社。新卒より一貫してアナリスト業務に従事。2015年、ジェネリック、バイオ企業の個別調査を開始。
その後、1年の海外留学を経て、バイオセクターを立ち上げる。2019年、参天製薬にIRとして入社。事業会社サイドから資本市場との対話に注力。
2020年9月よりSBI証券に入社しバイオセクターを担当。セルサイドアナリスト、事業会社の経験を活かした、包括的なリサーチを心掛ける。
経産省の「バイオベンチャーと投資家の対話促進研究会」にも参加。
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