ビジネスソリューション全体として状況は悪くないため多角的な視点を持ち好機を待ちたい

昨年の振り返り

2024年も2023年同様、大型群の株価が好調な一方、中小型株は出遅れた格好が続きました。大型群では、コロナ禍以降、日銀短観のソフトウェア投資額がYoY+10%以上の増加が継続しており、需要環境は良好な状況です。そういった中、年中頃から金利見通しの変化によりIT業界への資金流入が進み、セクターを代表する大型群の株価は好調に推移した印象です。中小型群は近年の市場動向を踏まえ売上と利益のバランスを重視する他、配当・自社株買いなど株主還元を意識する企業が増加しました。但し、株主還元が株価に効いている様子は見受けられず、シンプルに売上も利益も著しく伸び率が高い一部の企業の株価が堅調、それ以外は軟調という印象です。

2025年の展望

2025年は、大型群ではガバナンス強化を目的としたIT子会社のTOB、中小型群は状況の好転に注目しています。大型群では、2023年の伊藤忠商事子会社による伊藤忠テクノソリューションズのTOBに続き、2024年はNECとソフトバンクがIT子会社に対するTOB実施を発表しました。事業戦略上ITの重要性が増しており、ガバナンス強化を目的としたIT子会社のTOBが2025年も進むとみています。中小型群は、2023年では業績を伸ばしても中長期的な期待感を醸成しても株価に反応しませんでしたが、2024年は業績の好調と株価の軟調さが相まって割高感が急速に薄れ株価の復調や出来高の増加が目立ちました。事業環境に特段の懸念材料はないため、2025年は更なる状況の好転を期待します。

2025年の注目のテーマ、キーワード

「多角的な視点を持つこと」が重要だと認識しています。ガバナンス強化を図る企業、株主還元策を講じる企業、収益性向上に努める企業、売上・利益ともに高成長させる企業、M&Aに奔走する企業など、様々な企業がありますが株価に決定的な好材料が何なのかは今ひとつ分かりにくい状況が続いています。一方で、全体の株価推移や決算内容への反応などを踏まえると投資家マインドは足元徐々に改善しているようにも感じられます。よって、いずれかのタイミングで資金が大きく何かの材料やテーマに向かう可能性は一定程度高いと思われるため、現時点でどれか一つに絞らず、多角的な視点を持つことが重要な年になると考えます。

畑田 真

畑田 真
SBI証券 企業調査部(ビジネスソリューション、中・小型株担当 シニアアナリスト)

国立名古屋工業大学を卒業後2013年に東海東京証券に入社。
地方支店や基幹支店における個人営業、投資銀行部門における株式引受業務や債券引受業務を経験後、2015年10月より東海東京調査センターに出向しアナリスト業務に携わる。
半年間のアシスタント経験を経て、2016年4月よりビジネスソリューションセクターの新規立ち上げを担当。2018年日経ヴェリタスアナリストランキングでは初登場13位にランクイン。2018年11月より現職。
準大手証券でのセルサイドアナリスト経験を生かし、主力銘柄のみならず、アナリストカバレッジが少なく且つエッジの効いた中小型銘柄を発掘する事に注力。

津村 知生

津村 知生
SBI証券 企業調査部(ビジネスソリューション、中・小型株担当 アナリスト)

2017年4月に東海東京証券に入社、新卒から一貫してアナリスト業務に従事。2018年11月よりビジネスソリューションセクターの担当を開始、2019年の日経ヴェリタスアナリストランキングでは初登場ランクイン。2021年5月にSBI証券に入社。
準大手証券でのセルサイドアナリスト経験を生かし、システムインテグレーター(SIer)を中心とする主力銘柄のカバーに加え、アナリストカバレッジが少ない中小型銘柄の調査にも注力。

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