自動車部品生産復調に不確実性は残るも、インド、BEV対HEV、再編、非自動車など注目点は多い

2024年の株価パフォーマンスは非自動車事業、還元強化企業を除き低調

2024年の自動車部品株のパフォーマンスはTOPIXを下回りそうである。非自動車事業における画期的な新製品を発表した企業、同じく非自動車事業であり需要好調なHDD向け製品群を有する企業、株主還元を大幅強化した企業はアウトパフォームするケースが多かったが少数にとどまる。一方、大半の自動車部品企業は、円安進行にも関わらず、中国、東南アジアを中心とした自動車生産の低調、労務費上昇などのインフレ影響、トヨタ系では持ち合い解消による需給悪化への懸念も加わり、低調な株価パフォーマンスを余儀なくされそうである。

2025年も光明は差し始めたが現段階では楽観視出来ない

2025年も楽観視は出来ない状況であろう。トヨタの車両生産は挽回しつつあるが、品質問題の頻出などここしばらくの経緯を踏まえると、数量影響の大きいサプライヤーにおいては本格復調までを確度を高く織り込みにくい段階である。為替も足元は円安推移だが先行きは流動的である。一方、米国での追加関税リスクが懸念事項として新たに生じてきた。次世代車SDV(Software Defined Vehicle)の開発でも先行する中国勢に対し日系メーカーの出遅れ感も目立っている。後述する4つのキーワードへの関与度の小さい会社のパフォーマンスは業績・株価の両面において弱含む可能性が否定できない。

注目キーワードは「インド」・「HEV/二輪」・「新製品/再編」・「非自動車」

SBIでは「インド」・「HEV/二輪」・「新製品/再編」・「非自動車」が今後のキーワードとみている。需要面では、中国、東南アジアでの日本車のプレゼンスが低下している現状ではインドの注目度が高まってこよう。二輪車も四輪よりは高い成長が期待できるとみる。また、トランプ大統領就任もありBEV対HEVの勝敗に決着がつく可能性も考えられる。パワートレインの変化の影響を受けるサプライヤーは多く大いに注目したい。桁違いの成長率となるケースもある非自動車事業を有する企業にも着目。コロナ禍で中断した感のあった電動化リスクの高い製品を中心とした事業再編が活性化の可能性にも留意しておくべきであろう。

岩井 徹

岩井 徹
SBI証券 企業調査部(自動車部品、タイヤ担当 シニアアナリスト)

1997年新日本証券(現みずほ証券)入社、リテール営業を経て、1999年より電子部品担当として証券アナリストに従事。以来、クレディ・リヨネ、クレディ・スイス、三菱UFJモルガン・スタンレーなどの証券会社にて業界・企業分析に携わる。うち自動車部品・タイヤ業界は24年間にわたり担当。2024年9月より現職。アナリストランキングでは常に上位の評価を得る (日経ヴェリタス自動車部品部門2021年、2022年3位)。趣味はサーキット走行であり、公私にわたりクルマ三昧な生活を送っている。

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