FA関連では、新型コロナによる需要の大幅な変動や、需要回復期における部材不足などの外部環境変動に振り回されてきた。部材不足が解消し供給が正常化する局面で、景況感が悪化したこともあり、積極的に調達を進めた代理店に在庫が積みあがるなど需要と業績の連動性が必ずしも連動しない状況が続いた。計測機器では、PCR検査関連特需などが一部企業ではあったものの、需要は安定的に推移。一部高シェア企業では顧客企業の在庫調整局面となったが全般的には過去最高益を更新し続けた企業もあるなど景気変動に対する抵抗力が従来よりも明確となった。EV関連の需要は想定よりもスピードが鈍化したこともありガソリン車関連の計測機器製造企業にとっては追い風となった。

エレクトロニクスエレクトロニクスでは、FA市場の回復タイミングが注目点、計測機器は引き続き安定成長
2024年の振り返り
2025年の展望
FA関連では、需要の回復が遅れている。2025年には緩やかに需要回復局面を迎えるとみている。中長期的には、人件費上昇による生産現場の自動化が進むこと、生活水準の向上による自動化された安定的な生産設備で製造された高品質な製品に対する需要の拡大などを背景にFA市場は拡大しよう。計測機器では、新型コロナによる特需などの反動も一部企業であったが需要は再び安定成長局面へ回帰しよう。計測機器は、従来の一部の研究開発用途からサプリメントなど用途が拡大し市場は従来よりも拡大しつつある。これらいわば裾野需要の取り込みも各企業にとって重要なものとなろう。
2025年の注目のテーマ、キーワード
FA関連では、中国企業製品レベルアップがキーワードとなろう。中国企業が足元ではサーボモーターなどでシェアを拡大している。背景には、新型コロナによる部材不足やサプライチェーンの混乱などで、需要に的確に対応することができなかった日本企業が多い状況で、中国企業は供給を行うことができたことにある。そのため、従来は中国企業の製品を使用しなかった製造現場でも、緊急対応的に使用したことで、汎用品であれば価格の安い中国企業の製品も今後の調達候補とする傾向が高まったのではないかとみている。計測関連では、2025年には中国の薬典改正による需要増が期待されよう。経済成長に加え国民生活の安全安心が政策面でも重視される流れが継続している。

小宮 知希
SBI証券 企業調査部(精密機器・民生用エレクトロニクス、FA機器担当 シニアアナリスト)
生命保険会社、コンサルティングファーム勤務を経て、住友信託銀行(現三井住友信託銀行)、明治ドレスナーアセットマネジメント(現明治安田アセットマネジメント)、日興アセットマネジメント、三菱UFJモルガン・スタンレー証券でアナリスト業務に従事。2024年から現職。現在は精密機器・民生用エレクトロニクス、FA機器を担当。
バイサイド出身である強みを活かし、事業環境・経営戦略の変化の分析に加え、株価により焦点を当てたタイミング良い情報提供、的確な銘柄選別を行っていきたい。加えて、企業の持つ経営力や人材の質、歴史的背景、企業体質といった数字になりにくい本質的な価値を含め数量化しにくい部分も重要視している。
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