医薬・バイオ2025年、中間年度薬価改定の廃止は実現するのか

昨年の振り返り

2024年は、東証医薬品指数、東証グロース市場250指数ともにTOPIXをアンダーパフォームした。医薬、バイオにとっては厳しい年となった。年前半は、2023年の反動、マーケットクラッシュ時の資金流入などあり堅調であった。年後半は、米国大統領選挙でトランプ氏が勝利後、インフレ懸念やロバート・ケネディ・ジュニア氏の保健福祉省長官指名が影響により、米国の医薬品株が下落。国内医薬品株も影響を受けた。

2025年の展望

2025年、注目すべきは米国の動向であろう。IRA(Inflation Reduction Act)の影響による薬価引き下げ、トランプ政権下での製薬企業への政策変更などに注目したい。所謂反ワクチンである、ロバート・ケネディ・ジュニア氏が保健福祉省長官に指名されたことを考慮すると、医薬品セクターにとって厳しい年となる可能性の方が高いだろう。
一方、国内製薬・バイオ企業では、注目の申請・承認イベントがいくつか控えている。2024年、バイオ企業のパイプライン関連イベントはネガティブなニュースが比較的続いていたが、2025年の明るいニュースに期待したい。

2025年の注目のテーマ、キーワード

2025年は、中間年度薬価改定(中間年改定)の動向に注目したい。中間年改定は2018年の「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」(4大臣合意)で打ち出されている。中間年改定の影響は中堅医薬、後発品メーカーを中心に顕著になってきている。本年中頃までの中央社会保険医療協議会では、中間年改定廃止に関して、議論の進展は見られなかった。しかし、国民民主党の玉木雄一郎氏は“所謂103万円の壁と同じ熱量で、中間年改定の廃止に取り組む必要がある“としており、徐々に風向きは変わりつつある。中間年改定の廃止の有無は、最終的には政治的な決着となる見通しが高い。その動向や影響について注目したい。

川村 龍太

川村 龍太
SBI証券 企業調査部(医薬品担当 シニアアナリスト)

2014年に大手日系証券会社に入社。新卒より一貫してアナリスト業務に従事。2015年、ジェネリック、バイオ企業の個別調査を開始。
その後、1年の海外留学を経て、バイオセクターを立ち上げる。2019年、参天製薬にIRとして入社。事業会社サイドから資本市場との対話に注力。
2020年9月よりSBI証券に入社しバイオセクターを担当。セルサイドアナリスト、事業会社の経験を活かした、包括的なリサーチを心掛ける。
経産省の「バイオベンチャーと投資家の対話促進研究会」にも参加。

ご注意事項

  • ・SBI証券の取扱商品は、商品毎に所定の手数料や必要経費等をご負担いただく場合があります。また、各商品等は価格の変動等により損失が生じるおそれがあります(信用取引、先物・オプション取引、商品先物取引、外国為替保証金取引、取引所CFD(くりっく株365)では差し入れた保証金・証拠金(元本)を上回る損失が生じるおそれがあります)。
    各商品等への投資に際してご負担いただく手数料等およびリスクは商品毎に異なりますので、詳細につきましては、SBI 証券WEB サイトの当該商品等のページ、金融商品取引法等に係る表示または契約締結前交付書面等をご確認ください。
    金融商品取引法等に係る表示
  • ・本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。本資料は、信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成したものですが、正確性、完全性を保証するものではありません。万一、本資料に基づいてお客さまが損害を被ったとしても当社及び情報提供者は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製又は販売等を行うことは固く禁じます。
    重要な開示事項(利益相反関係等)について
  • ※掲載しているコンテンツ内でご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません