クオンツ・ESG2025年ファクターとESG投資の展望

リスク投資分散戦略について考えたい2025年、出遅れた東証グロース市場の魅力

一般的に株式リターンを追求する為には、リスクテイクが鍵になるものの、多くの投資家はリスク環境の把握やそれを意識した投資戦略に対して積極的ではない。留意されたいのが、株式相場が大きく変化する過程で、物色転換が高いボラティリティに繋がる局面だ。この際に、リスクヘッジを検討している・していない場合では、最終的な運用損益が大きく異なるであろう。代表的なリスクヘッジ方法には、ポートフォリオの高・低ベータのコントロールがあるが、それ以外にも、バリュー・グロース、モーメンタム・リバーサル等の対極的な特徴を組み合わせることで変動リスクを抑制する方法がある。足元の投資環境では、時価総額帯別の値動きが顕著であることから、大型、中型、小型株をバランスよく保有する戦略をお勧めしたい。

25年1月からは、トランプ政権が発足され、新たに投資テーマがでてくる。マーケットの流れに追随するのも良いが、異なる時価総額帯への分散投資は是非取り入れたい。この意味で、株式市場全体から出遅れた東証グロース市場は分散効果をもたらす良き対象かもしれない。

ESG着眼点:デフレからインフレ時代への経営、ガバナンス改革が効き始める日本企業

国内の金利や物価の上昇、人手不足等が顕在化する時代では、企業の長期的なソフト面からの経営戦略が重要になる。グローバルに分断や地政学リスクもがあるなか、従来通りの低コスト化をハード面から投資するだけでは立ち行かなくなるだろう。経営資源は、ソフト資産重視にシフトさせていく過渡期にあるのではないだろうか。例えば、優秀な人材確保にどれだけの戦略と投資をしてきたのか、自社製品やサービスの付加価値を高める為の研究開発が進んでいるか、これからの長期投資に新たに必要になってくる目線だと考える。このような角度から、経営の舵をきる優良ガバナンス(G)や社会(S)企業を探していきたい。

コーポレートガバナンス・コードが導入されてから、日本企業のガバナンスは大きく変化した。10年前に比較すると、定量分析でのガバナンス個別要素と株価パフォーマンスに関係性が観測されるようになり、変革が投資テーマになり得るようになってきている。今後も、日本企業のガバナンス指標を投資判断に積極的に活用していきたい。

波多野 紅美

波多野 紅美
SBI証券 金融調査部 チーフクオンツアナリスト

事業会社、外資系証券会社を経て、2010年MSCI入社、2016年以降からクオンツアナリストとして活動。
2019年6月に三菱UFJモルガンスタンレー証券より転籍。日経ヴェリタスアナリストランキングは、クオンツ部門で2024年4位。セールストレーディングや定量リサーチ分野で実務経験を積む。ロンドンImperial College工学部、東京工業大学総合理工学部修士課程卒業。
バーラモデルを含めたファンダメンタルモデルの解釈や実用・応用は実務上得意とする分野。「いまさら聞けないクオンツ分析」等のセミナーを通して親しみやすくファクターや非財務情報の定量分析、アルファの高い銘柄選択を紹介していきたい。移り変わる運用の世界で、ファクター投資やESG投資について運用期間や年金基金の取り組みに注目する。経済産業省の健康経営検討基準委員会にも参加。

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