そして2024年の日本株で注目すべきマネーフローとなるのが、個人投資家の売買です。2024年は新NISA(少額投資非課税制度)のスタートに加え、一部証券会社による株式売買手数料無料化が、個人投資家の投資マネーを株式市場に呼び込むことが期待されます。こうした制度面等の変化に加え、本格的な脱デフレが視野に入ってきたことで、これまで株式相場の上昇時に売り主体となるなど“逆張り”傾向の強かった個人投資家が、“順張り”に転換する可能性があります。昨年から日本株上昇時の買い手であった海外投資家に、“順張り”の個人投資家マネーが加われば、日本株は上値追いとなることが想定されます。前述した外部環境によるリスクファクターが大きくならなければ、日経平均が1989年12月に付けた史上最高値(38,915円)超えも視野に入ると考えられます。
また、個人投資家や海外投資家のマネーを呼び込む投資テーマとなるのが、株主還元の動きです。2023年3月に東京証券取引所が低PBR企業に対し、企業価値の向上を要請したこともあり、企業価値の向上策として株主還元を強化する動きが広がっています。こうした動きに加えて2024年は買収防衛の観点からも企業価値の向上が急務になることが想定されます。最近、世界的に見れば企業のM&A(合併・買収)の動きが活発化してきているようです。2000年代初頭にも見られましたが、世界経済が行き詰まってくると、グローバルで業界再編の動きが出てきます。そうした中、競争力の高い商品・サービスを提供しているにも関わらず、資本効率が低く、割安株で放置されている日本企業は、円安により海外企業(または投資ファンド)が買収するためのコストが下がっており、有望な買収対象となっている可能性があります。財務体質が良好なキャッシュリッチ企業などを中心に、企業価値を高めるための取り組み(配当、自社株買い、MBO、日本企業同士のM&Aなど)が注目テーマになると考えられます。