2023年中小型株市場を振り返ると、その企業の属する業界環境によってまちまちな展開となったと思える。ハイテク分野では、年初から米国SOX指数上昇による好影響を受けた生成AI・半導体関連中小型株が3月以降急ピッチに株価が上昇した。4月23日のNVIDIA決算を受けてさらに上昇スピードを上げた。対照的に非製造業、高バリュエーションのサービス関連の中小型株は業績動向に関係なく、利食い売りで下落する動きに終始した。生成AI・半導体、サービス関連以外の製造業や非製造業の銘柄は、その企業業績によってまちまちな株価パフォーマンスであった。
中・小型株生成AIとニッチだが新たなビジネスチャンスを活かして収益力をあげる企業を狙う
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個別企業でまちまちなパフォーマンス
業界動向・銘柄選別&チェックをこまめにしよう
2024年は金利上昇およびインフレの影響を徐々に織り込みつつ、厳しいマクロ環境のなかで成長の芽を持つ企業を選別しながら、中小型株式市場は回復する年となろう。生成AIは2024年も大きなテーマとして投資家の注目を浴び続けるであろう。賃上げ、インフレ、円安、円高、米国大統領選挙、欧州経済動向、中国景気動向など2023年以上に不透明なマクロ経済環境のなかでも、成長期待の高い企業へ投資家の選別色が強まる相場となろう。
2024年のキーワードなど
2024年のキーワードは、「SDGs」「健康・介護」「生成AI」「半導体微細化」「5G&6G」「電気自動車」「自動運転」「非接触」「水素」「脱炭素」「ウエアラブル端末」「データセンター」「インバウンド」「インボイス制度」「子ども・子育て支援」「建設、物流2024年問題」「トリプル報酬改定2024」などが考えられる。マクロ環境の不透明な2024年であるが、アフターコロナ時代からディカップリング化へ傾きつつある世界経済動向に注意をはらいつつ、新たなビジネスチャンスを活かし収益化していく企業にスポットライトがあたる2024年と考える。
森本 展正
SBI証券 企業調査部(中・小型株担当 シニアアナリスト)
1985年に和光証券(現みずほ証券)入社、86年和光経済研究所に出向、日本興業銀行、和光証券アメリカ出向。
96年より情報サービス、ゲーム等の企業調査を開始し、東京三菱証券(現三菱UFJモルガン・スタンレー証券)、クレディ・スイス証券で情報サービス・セクターのアナリスト業務に従事し、みずほ証券ではIPO・中小型株を担当。
日経アナリストランキングで上位の評価を得る(2006年情報サービス・ゲーム部門1位)。
2020年にSBI証券入社。
氏原 義裕
SBI証券 企業調査部(中・小型株担当 シニアアナリスト)
1982年に新日本証券(現みずほ証券)入社。1985年から1991年まで香港、その後1994年まで日本興業銀行(現みずほ銀行)シンガポール証券現法に出向し機関投資家営業。2000年から2003年まで新規公開企業(IPO)を中心にアナリスト業務を開始。2003年から現在まで幅広く中小型銘柄の調査・発掘を行っている。日経ヴェリタスアナリストランキングは、2007年、2010年と1位、直近2023年は4位。Institutional Investors誌アナリストランキングはOTC&Small Cap部門で2016年2位。Starmine Household Durablesの企業分析部門で2015年1位。2020年4月より現職。
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