NISA新NISAで多様性が求められる資産配分 オルカン投資家は国内株式比率をどうするか?

新NISAで何が変わる?

2024年からいよいよ新NISAが始まります。

新NISAスタートに伴い、つみたてNISAでインデックスファンドでしか投資していなかった方が、時間をかけて国内外の株式(上場投資信託(ETF)を含む)などへの投資を増やすことが予想されます。また、一般NISAで国内株式や外国株式を中心に保有していた方が、非課税枠(1,800万円)をフル活用するために、つみたて投資枠を使って投資信託への投資を増やすことが見込まれます。

金融庁が公表しているNISA口座数(一般、つみたての合計)は2023年6月末で1,941万口座となっています。2022年12月末の1,800万口座から、半年間で141万口座増えたため7.8%の増加率です。この増加率でNISA口座が拡大していくと仮定すると、政府が目標とする3,400万口座(日本の20歳以上人口では約3人に1人に相当)は、2027年6月頃に達成することが予想されます。
新NISAでは非課税枠の拡大と制度の恒久化によって、「分散投資をどうするべきか?」、 「自分に合った資産配分は何か?」 が2024年からのテーマになると考えます。

つみたてNISAを行っている方は、インデックスファンドで人気の日本を含む全世界株式(通称「オルカン」)の一択という方も多いのかもしれません。年間40万円までの積立投資であれば、株式のみというのも問題ないと考えますが、資産がある程度まとまった評価額となって、将来の資産の取り崩しが近づいてきた方にとっては、債券などにも分散投資をして、リスク(値動きのブレ)を小さくすることが求められます。

債券への投資は、成長投資枠の対象となっている債券を投資対象とした投資信託やETF、複数の資産に投資しているバランス型投資信託でも可能です。

資産配分はどうする?

資産配分を決める際には、①年齢、②収入(将来の年金額などを含む)、③資産状況、④投資経験などを考慮するといわれていますが、資産配分についての1つの考え方として、①の年齢だけに着目して、「100-年齢」を「株式」に配分するという方法があります。

20歳の方であれば80%を株式に、60歳の方であれば40%を株式にということになります。

株式はリスク(値動きのブレ)が相対的に高いですが、高いリターンも期待できるため、若いうちは時間を味方につけて株式を多めにするという考え方です。残りの部分は価格変動が小さい債券などで運用するということになります。

非課税枠上限(1,800万円)まで投資をする過程で順調に資産を増やすことができれば、評価額は2,000万円以上になることが期待されます。その場合に非課税枠の資産配分について、将来の取り崩し期間を見据えてどうするかを、5年や10年ごとに見直し、変更していくことが必要になってくるといえます。

国内株式比率はどうする?

オルカンの国内株式比率は5.5%(2023年11月末)となっています。全世界株式のインデックスは株式時価総額で構成比が決まるため日本の比率は少なめで、大半が米国で、その構成比は60.7%(同)となっています。

一方で日本の年金基金(GPIF)における基本ポートフォリオは、株式が50%、債券が50%となっていますが、株式50%の内訳は国内株式が25%、外国株式が25%となっています。日本の年金運用においては、ホームカントリーバイアスがかかっています。ホームカントリーバイアスとは投資家が株式投資を行う際に、外国資産の情報収集コストや為替リスクなどを考慮して、自国市場への配分が高くなる傾向のことを指します。

2023年の国内株式(日経平均、TOPIX)は、円安、堅調な企業業績に加え、東証のPBR1倍割れ企業等への対策要請、バフェット氏の商社株買い等が追い風となり好成績となりました。新NISAで国内株式の構成比をどうするべきか。それは投資家の多様化するニーズによって異なりますが、金融資産を多く保有する中高年層を中心に日本の高配当株への選好が強まり、2024年は国内株式(投資信託の国内株式分を含む)の構成比が意外と高まるのではないかと予想します。

川上 雅人

川上 雅人
SBI証券 投資情報部 シニア・ファンドアナリスト(公益社団法人日本証券アナリスト協会認定アナリスト)

慶應義塾大学卒業。丸三証券で国内株アナリスト、国内大手運用会社で18年間、商品企画・営業などを担当後、2020年よりauカブコム証券でファンドアナリストとして活動。2022年11月から現職。 SBI証券「投資情報メディア」やマネー誌などで投資信託や資産運用(NISA等)に関する情報提供を行う。

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