機械2024年は為替市況がリスク要因も、設備投資循環が反転しそう

2023年:機械株のパフォーマンスは対TOPIXで「竜頭蛇尾」の顛末

2023年の機械株のパフォーマンスはTOPIX並みに終わりそうである。2023年前半は、中国株から日本株への資金流入や東証のPBR1倍割れ改善要請、大幅な円安などを背景に、機械株はTOPIXをアウトパフォームした。半面、4~6月決算発表が始まった7月頃から“中国経済停滞”や“(流通)在庫調整”を重石に利益確定売りが入ったと見られ、機械株はTOPIXをアンダーパフォームした。機械業界の需要自体は概して減速した一年で、地域別には欧州が悪化の一途を辿った一方で、中国は年後半に下げ止まり、北米や日本は相対的に底堅かった。また、業種別には、軍需・公共・ガソリン車関連が堅調、電気自動車やリチウム電池関連が踊り場、3C(コンピュータ/通信/家電)関連が低調だった。

2024年:円安メリットは剥落しようが、設備投資活動は回復の可能性

2024年の機械株のパフォーマンスを企業収益から見通すと、悪材料として円安メリットの剥落や更なる人件費上昇、中国の不動産不況の継続、パレスチナ問題の波及などが想定できる半面、好材料として設備投資活動の回復局面入りや次のシリコン・サイクルへの突入、リ・ショアリング(生産回帰)の進展、追加的な売価改定などが想定できよう。主要業種では、特に一般機械・産業機械は需要のベンチマークの一つである日本工作機械工業会の受注高を見る限りは、期間的・金額的に減少局面を十分に消化しているため、2023年後半を大底に2024年は前年同期比で増加基調へ転じよう。地域別には、生産回帰と政府補助金・減税が望める北米(米国)と日本に強気で、欧州と中国に弱気である。

注目トピックス:中国企業の世界展開、BRICsプラス、防衛、2024年問題

2024年の注目トピックスや投資アイディアとしては、上記の好材料と悪材料のほかに、①中国の電動車メーカーのように、今後はグローバル展開することで勝ち残りそうな中国企業を後方支援できる日本企業、②BRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)に中東・アフリカ・南米諸国を加えたBRICsプラスもしくはグローバル・サウスの成長を取り込める日本企業、③地政学リスクに対応した日本政府の防衛費増額の恩恵がありそうな日本企業、④2024年問題(建設・物流・医療業界で2024年4月から導入される残業規制に伴う人手不足)を新たな事業機会にできる日本企業、⑤米国自動車労組(UAW)によるこの先数ヵ年の賃上げを見越した産業用ロボットの普及拡大を取り込める日本企業、などが挙げられる。

野口 昌泰

野口 昌泰
SBI証券 企業調査部(機械業界担当 シニアアナリスト)

2001年に松下電器産業(現パナソニック)に入社し、デバイス部門で経理業務に従事。2007年に野村證券に入社し、株式アナリストとして中小型セクター(カー・バッテリー、厨房機器、中古車流通、機械商社など)や機械セクターをカバレッジ。コンサルティング会社で戦略コンサルタントを経て、2022年1月より現職。機械セクターに於いて、日経ヴェリタスのアナリストランキングは2017年が6位、トムソン・ロイターのアナリスト・アワード・ジャパンは銘柄選定部門で2018年が3位、Institutional Investor誌アナリストランキングは2020年がランナーアップ。

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