外国株式2024年の米国株は好調持続で夏頃に年内の高値をつけると予想、大統領選挙がワイルドカード

2023年の振り返り(マグニフィセント・セブンが米国株牽引)

2023年の米国株市場は好調なパフォーマンスになりました。米10年債利回りの上昇が嫌気される場面もありましたが、インフレ鈍化と利上げ終了観測が好感されて、米国主要株価3指数の年初来パフォーマンス(12/14時点、以下同じ)は、NYダウが+12.4%、S&P500が+22.9%、ナスダックが+41.0%となり、ナスダックが大幅なアウトパフォームになり、NYダウは史上最高値を更新しました。S&P500セクター別(11業種)の年初来パフォーマンスは情報技術やコミュニケーション・サービス、一般消費財・サービスの上げが目立ち、公益やエネルギーの下げが目立ちました。個別株ではエヌビディア(3.3倍)、メタ プラットフォームズA(2.8倍)の上げが目立った他、テスラ(2倍)、アマゾン ドットコム(+75.5%)、マイクロソフト(+52.6%)、アップル(+52.5%)、アルファベット A(+49.5%)とマグニフィセント・セブン(主力株7銘柄の総称)が牽引した1年になりました。なお、大型IPOで注目を集めたアーム ホールディングス ADR(ARM)は上場来高値を更新しています。

2024年の見通し(夏頃に年内の高値をつけると予想、ワイルドカードは大統領選挙)

2024年の米国主要株価3指数は夏ごろに年内の高値をつけると予想します。その背景は、①利上げ打ち止めを経ての利下げ期待、②企業業績の改善見通し、③アノマリーだと考えています。市場予想では2024年前半に政策金利の引き下げが見込まれています。企業業績(四半期ベース、S&P500指数採用銘柄)は、2023/Q2の減益から、Q3には増益に転換、Q4以降は向こう数四半期にわたって増益見通しで、2024/Q2には2桁増益が見込まれています。

アノマリーに関しては、過去4回の利上げ打ち止め時期から1年後のS&P500指数のパフォーマンスを見ると、景気後退懸念が生じた2000年を除く3回において株高になりました。景気後退を回避できれば株高のアノマリーが期待できると思われます。なお、市場予想では米実質GDP成長率(四半期ベース、前期比年率)は、2024/Q1-Q2に1%を下回る低成長になる見通しですが、その後は回復する予想で、景気後退は回避できる可能性があります。

一方、2024年のワイルドカードは11月の大統領選挙と考えています。バイデン大統領とトランプ前大統領との一騎打ちになる可能性が高いと思われますが、対中強硬論が加速するようであればマーケットにはネガティブ材料になると思われます。2024年夏頃に米国株は年内の高値をつけると見込みますが、その後は大統領選挙まで不透明感が嫌気されて株式市場は調整するイメージを想定しています。大統領選挙後は政策を見極めながら、年末にかけては株価が回復するシナリオです。

2024年の注目テーマ・キーワード

◆主力ハイテク株:利下げ観測と堅調なファンダメンタルズから、マグニフィセント・セブンに代表される主力ハイテク株は引き続き有望と考えています。
◆コミュニケーション・サービス関連:同セクターは2023/Q4と2024/Q1の市場予想EPS成長率がセクター内(11業種)でも高い見通しです。健全なファンダメンタルズを背景に関連銘柄は注目されそうです。
◆債券およびマーケット関連:2023年は株式ETFが債券ETFをアウトパフォームしましたが、利下げが実施されれば債券ETFへのフロー期待から、2024年は債券ETFが持ち直す展開になると考えています。
◆インドとブラジル関連:米国市場に上場するインドとブラジル関連(ADRやETF)にも注目しています。インドは高成長でありながらインフレを抑制しつつあります。人口面でも世界のパワーバランスを変え得る存在として期待されます。代表的な株価指数であるSENSEX指数は史上最高値圏で推移しています。ブラジルは主要国に先行して利下げサイクルにあり、ブラジルの代表的な株価指数であるボベスパ指数も史上最高値圏です。
◆住宅建設関連:春の住宅販売シーズン、住宅ローン金利の低下と新築住宅販売件数の改善で住宅建設株は史上最高値圏で推移しているのが目立ちます。

*Bloombergデータを基にSBI証券作成

齊木 良

齊木 良
SBI証券 投資情報部 シニア・マーケットアナリスト(外国株担当)(公益社団法人日本証券アナリスト協会認定アナリスト)

名古屋大学経済学部卒業。東海東京証券において主に外国株プロモーション、外国株トレーディングに従事。機関投資家向けの日本株トレーディングにも携わる。米国の証券会社へのトレーニー、コロンビア大学ビジネススクール客員研究員等を経て2022年4月よりSBI証券投資情報部に所属。ファンダメンタルズとトレーディングの両面から米国株を分析する。

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