外国株式底値圏にある中国株!? 2024年の投資視点は

3年連続の下落、株価水準は底値圏

MSCI中国指数は2023年に失望売りに押され、3年連続の下落となりました。不動産問題や景気懸念に加え、地政学リスクを警戒した中国株離れが背景です。歴史上、MSCI中国指数が4年連続で下落したことはなく、3年連続の下落は今回と2000年-2002年の2回です。前回は翌2003年に急反発しました。世界および中国株式市場の地合い好転に加え、底値圏まで低下した株価水準も大幅反発の素地となりました。

2023/12/15時点のMSCI中国指数の株価水準を確認してみると、株価収益率(PER)は約11倍で、過去の最も低い水準(約9倍)を上回っているものの、前回の2002年末の12倍を下回っています。株価純資産倍率(PBR)は2000年以降で最も低い水準の1.1倍となっています。バリュエーション面でみた場合、さらに大幅に下落する余地は限定的で、2024年は反発を試す可能性がありそうです。

全体反転のトリガーは不透明、自律反発か

大幅反発のきっかけとなり得るトリガーを考える際、足元ではやや材料難と言えます。不動産問題や景気鈍化は続いており、大規模景気支援の兆しは見えない状況です。中国当局は2024年の政策運営方針について引き続き、先端技術による産業革新を最優先課題に挙げました。2024年3月の全国人民代表大会(全人代)で予想外の成長重視戦略へ転換しない限り、大幅反発は難しいかもしれません。他方、成長鈍化のペースが抑えられ、企業業績が予想以上に堅調な場合、低バリュエーションを支えに一部では見直しが入る可能性があります。その際は、自律反発の域にとどまる可能性があり、指数全体の上昇率はそう高くないかもしれません。

スマートフォンやパソコン関連、海外進出企業に期待、新エネルギー車にも引き続き注目

不動産や不動産関連以外の業種に目を向けた場合、企業業績はコロナ禍から緩やかながら回復しています。たとえば、スマートフォンやパソコン業界はコロナ特需の反動減と在庫の積み上がりに苦しんできましたが、足元ではその影響は薄れつつあります。2024年は買い替え需要も高まると予想されるため、スマートフォンおよびパソコン関連銘柄は販売回復とともに、業績や株価の持ち直しが期待できそうです。

中国の厳しい競争環境で勝ち抜いてきた一部の企業(たとえばEコマース大手のPDDホールディングス、新エネルギー車大手のBYD)などは積極的に海外展開を進めています。「適切な価格で割と良いものを提供する」戦略によって、海外市場で一定のシェアを獲得できると予想されます。新エネルギー車の普及スピードは2023年ほどではないかもしれませんが、実需と取得税減免の継続、消費者ニーズに合わせた各社の新車投入は販売拡大を支えると見込まれます。主力銘柄は売上拡大よりスケールメリットや効率化による利益率の向上が期待できそうです。

李 燕

李 燕
SBI証券 投資情報部(外国株担当 シニア・マーケットアナリスト)

中国出身。2006年に東京外国語大学卒業後、タワー投資顧問にて従事。Cape Asset Management Limited(日系運用会社)、みずほ証券、内藤証券を経て2021年4月よりSBI証券投資情報部に所属。香港および日本で中国株式ファンドのRMや中国株式の調査・分析業務に長年携わる。中国本土および香港の現地情報に基づいて調査・分析できることに強み。

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