2023年は厳しい年であったといえるでしょう。まず鉄鋼セクターでは、中国不動産市場の低調、中国からの輸出増加によるアジア鋼材市況の軟化、根強いコスト上昇圧力などの逆風が重なりました。次に非鉄金属セクターでは、自動車産業向けの出荷回復が追い風であった一方で、エレクトロニクス産業の鈍化が逆風となりました。エレクトロニクス産業では光ファイバ・光通信機器、半導体や電子部品関連の電子材料などの出荷が減速しました。ただし両セクターともに厳しい環境下においても、歴史的にみて好業績を出している企業もあります。価格交渉力、高付加価値化、バリューチェーンの強さといった経営力が試された一年であったといえるでしょう。
鉄鋼・非鉄好材料と不安材料が混在。2024年はエレクトロニクス産業の好転に注目
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昨年の振り返りなど
2024年の展望など
セクターごとに、見通しが異なる1年となりそうです。まず鉄鋼セクターは2023年に続き、厳しい1年となりそうです。国内鉄鋼業および中国鉄鋼業の在庫循環をみると、2024年後半にかけて数量面のモメンタムは減速する可能性が高いと考えられます。またアジア鋼材市況も好材料が乏しく、低水準が続きそうです。一方で非鉄金属セクターでは、エレクトロニクス産業向けの出荷増といった明るい材料がみえてくる1年となりそうです。生成AIという新需要、データセンター投資の回復は、23年に減速した光ファイバ・光通信機器や電子材料に対して追い風となるでしょう。世界的に高シェアや競争力のある製品をもつ日系メーカーも多いため、注目されます。
2024年の注目のテーマ、キーワードなど
「脱炭素」、「インド」、「エレクトロニクス」に注目しています。まず「脱炭素」は、特に鉄鋼セクターに影響が大きいテーマです。2023年から日本政府による脱炭素技術開発支援の拡充、高炉各社によるグリーン鋼材拡販などが進展しており、投資評価に対するディスカウントも払拭されることが期待されます。次に「インド」も、鉄鋼セクターに影響の大きいテーマです。インドは世界でも急激に鉄鋼消費が拡大している稀有な国であり、鉄鋼メーカーはどれだけ入り込めるのかが注目されます。最後に「エレクトロニクス」は非鉄金属セクターに影響が大きいテーマです。半導体産業やデータセンターの回復は、非鉄金属メーカーに対して追い風となるでしょう。
柴田 竜之介
SBI証券 企業調査部(鉄鋼・非鉄担当 アナリスト)
2018年4月に東海東京証券に新卒入社し、リテール営業に従事。2019年4月に東海東京調査センターに出向し、 各種研修を経て、2020年10月より株式アナリストとして鉄鋼・非鉄セクターを担当開始。2023年8月より現職。 2023年の日経ヴェリタスアナリストランキングでは、鉄鋼・非鉄セクターで6位。景気循環などのマクロ的な視点を、分析に取り入れることに注力。
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