医薬・バイオ2024年、国の医療制度改革への本気度を見守りたい

2023年の振り返り

2023年は東証医薬品指数、東証グロース市場250指数ともにTOPIXをアンダーパフォームした。医薬・バイオ株にとって非常に厳しい年となった。円安、米国経済好調、などのテーマがことごとく医薬品・バイオ株にはマッチせず、相対的に低パフォーマンスになったとみる。バイオ企業では、重要な治験結果がいくつか開示され、ピポタル試験でポジティブな結果を示したが、株価は反応しないなど、相場環境からか盛り上がりに欠けた1年であった。

2024年の展望

2023年、相場環境は厳しく、医薬品は全面的に売られる展開となった。一方、肥満に対して有望なデータが出てきたGLP-1作動薬は、その市場性の大きさから、期待値が高まり、GLP-1作動薬関連企業の株価は好調でもあった。2024年も、テーマやモダリティに注目が集まる展開は続くとみる。

政策に関しても、前向きな議論や兆候も見られた。2024年4月には、「医療・介護・障害福祉」の診療報酬が同時に改訂される、「トリプル改定」が控えている。2023年は、トリプル改定に向け、中央社会医療協議会で多くの議論がなされた。叩かれる一方であった薬価に関しても、ドラッグロス・ラグなどが問題に挙げられ、イノベーション評価に向けた前向きな議論も見られた。ある程度、具体的な制度導入が見えてきている。これら政策の効果が出るのには時間がかかるが、盛り上がりに期待したい。

2024年の注目のテーマ

モダリティでは、SaMD(Software as a Medical Device)に注目したい。所謂、治療用アプリであり、日本では、禁煙アプリ、高血圧治療アプリ、不眠症治療アプリが承認を取得している。SaMDについての促進策である、「プログラム医療機器実用化促進パッケージ戦略2(DASH for SaMD 2)」が議論され、具体的な施策も公表されている。

医療全体のDXについても注目したい。「医療DX令和ビジョン2030」が発表されており、その中では、電子カルテ普及率100%が掲げられている。普及に向けた具体案などが2023年は議論されてきた。2024年以降、SaMD、医療DXは一つのテーマとしての注目度は上がるとみる。

川村 龍太

川村 龍太
SBI証券 企業調査部(医薬・バイオ担当 アナリスト)

2014年に大手日系証券会社に入社。新卒より一貫してアナリスト業務に従事。2015年、ジェネリック、バイオ企業の個別調査を開始。
その後、1年の海外留学を経て、バイオセクターを立ち上げる。2019年、参天製薬にIRとして入社。事業会社サイドから資本市場との対話に注力。
2020年9月よりSBI証券に入社しバイオセクターを担当。セルサイドアナリスト、事業会社の経験を活かした、包括的なリサーチを心掛ける。
経産省の「バイオベンチャーと投資家の対話促進研究会」にも参加。

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